このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
10回目の今回は2009年になります。
第1問
ベクトルの処理に関する問題です。
(1)教科書レベルの証明です。xを消去するとyAB+zAC=0となり、ABとACが1次独立なのでy=z=0が言えます。
(2)こちらもよくあるベクトルの式を導出する問題で、線分の比を求めて解くのですが、メネラウスの定理を使うと非常に早く比を調べることができます。
(3) (2)と同じ要領でAHとAIの各ベクトルもAB, ACで表現できます。その各係数がすべて等しければGとHとIは同じ点になります。
結果のt=1/2は、そりゃそうだよね、という感じの答えですね。このとき、G, H, Iは△ABCの重心に重なることになります。
<筆者の解答>
第2問
確率・期待値の問題です。
正直どの小問も教科書レベルの問いなので、特にコメントすることはないです。
(3), (4)では個数によって場合分けして確率を計算していきます。
<筆者の解答>
第3問
3乗根の差の値を求める問題で、よく鈴木貫太郎さんが動画で取り上げるタイプの問題ですね。正直、小問に分けたり冒頭で答えをネタバレすることなくいきなり「〇〇の値を計算せよ」でもよい気がします。
(1) α=(5√2+7)^(1/3), β=(5√2-7)^(1/3)とすると、α^3 - β^3の値とαβの値がきれいな整数値で求まります。x=α-βに注意して、α^3 - β^3の式にα-βとαβの値を代入していけば、xの3次方程式が求まります。
(2) (1)の方程式を解けばよく、実数解は1つしかありません。
<筆者の解答>
第4問
多項式の割り算に関する問題です。
(1) 因数定理を使えば容易に証明できます。
(2) 3次方程式Q(x)=0の実数解は多くて3個までです。もしa~dが全部違う数であれば、(1)の結果はQ(x)=0が4つの実数解をもつことを意味し、矛盾してしまいます。
Q(x)が「3次式(※3次『以下』ではない)」なので、抜け道の「Q(x)は恒久的に0」も通用しません。
(3) P(x)を(x-a)(x-b)で割った余りと(x-c)(x-d)で割った余りをそれぞれ調べて、両者が一致する条件を調べることになります。答案では、整数の時と同じように「多項式に関する合同式」の考え方を使って紙面をスッキリさせました。
<筆者の解答>
第5問
指数関数と対数関数が接する条件を考える問題です。
(1)これは教科書レベルであり、説明不要でしょう。
(2) Cとlを連立した方程式が、x=t以外に解がないことを確認します。方程式の左辺を微分して増減を調べれば事足ります。
(3) CとDの形状から、両者が1点だけ交点を持つのはCとDが接するときに限ります。ということは、(1)で考えたPがD上の点でもあり、なおかつPでのDの接線もlと一致していればよいわけです。この条件を処理することで、p,qをtだけの式で書くことができます。こうなれば2p-qの最大値を調べるのは簡単です。
<筆者の解答>
第6問
三角関数の交点に関する問題です。
(1) sinx=sinaxを解くことに終始しますが、和積の公式を使って因数分解するとよいでしょう。
(2) 0≦x≦f(a)ではsinax≧sinxとなっているので、S(a)は特に面倒事もなく単純な積分計算で求まります。
(3) sinx/x→1 (x→0)を使って極限を計算していきます。
<筆者の解答>