私立最難関の一角、慶應義塾大学の理工学部の問題を取り上げます。今回は2017年の問題です。
第1問
いつものように小問集合です。
(1)三角関数でパラメータ表示された曲線に関する問題です。
問題文を読んでいくとα-π/6という式が登場しているので、これを無理やり出現させるように式変形していけばよいでしょう。前半は、直線に、後半は2次曲線になります。後半の2次曲線は、適切な回転をすると楕円になります。
(2)複素数の問題で、結局「zと5/zの両方が、成分表示すると整数になる条件を求めよ」という問題です。5/zが整数成分で書けるという条件からa,bの候補が絞られます。
(3)微分方程式の問題です。y=f(x)(つまりx=g(y))として与式をyの式に書き換えてしまいましょう。その上でg(y)をyで2回微分すればよいです。
<筆者の解答>
第2問
空間図形の問題です。誘導に従って色々計算していきます。
(1)面積は、ABベクトルとACベクトルから求まり、内積は余弦定理から求めることができます。
(2)OPがαと直交するとき、OP・AB =0, OP・AC=0が成立するのでそこからx,yが求まります。
また、D, O, Gの関係性からODベクトルも分かることになり、ここからAHベクトル、OHベクトルも求まります。tの値は、Hがα上にあるという条件から、係数の和=1で求まります。
(3) DHが四面体の高さになるので、これを計算すればお終いです。
<筆者の解答>
第3問
(1)sinθが0になるのは、θがπの整数倍の時です。ここからxの一般式を求めて0≦x≦1となるように調整します。
(2) f(x)が増加関数という事実を使って、積分の中からf(x)を追い出してしまいましょう。その上で、積分を計算していくと、nの偶奇によって符号が変わることが分かります。
(3) (2)の不等式の各辺を足し算すればInが出現するので、はさみうちが適用できます。
(4)akの、sinに絶対値付けたバージョンの積分をbkとして、(3)までと同じようにJnを上下で挟みましょう。すると、Σf(xk)が出現しますが、区分求積法の考えで積分に変えることができます。
<筆者の解答>
第4問
確率の問題です。
(1) 1回目に引くカードをa, 2回目に引くカードをbとして、a+b>ab となるa,bの組を列挙します(整数問題でよく使う因数分解が有効です)。すると、「aとbの少なくとも一方が1になる」が求める条件だと分かります。
(2) 前半に関しては、引くカードが(1,2,3,4)の並び替えになります。後半については、
「3以下が4回出る確率」 ー「2以下が4回出る確率」で求まります。
(3) n回の操作で2種類のカードが記録される確率を、(1,2), (1,3), (1,4), (2,3), (2,4), (3,4)すべてについて調べます。
(4) 1の出るタイミング、4の出るタイミングを固定して確率を調べ、それらを全て足し上げます。
<筆者の解答>
第5問
3次方程式、3次関数の問題です。一見、小問集合のように独立して見える(1)(2)ですが・・・
(1) 3次方程式の左辺を微分すると、極大極小を持つことが分かります。この条件下で実数解が1つだけなのですから、極大値と極小値が同符号でないといけません(しかも0はNGです)。面積は標準的な積分計算です。
(2) 3次関数の法線の式を作って連立させればX(a)が求まり、X(a)が相加相乗平均が使える形をしているので最小値も簡単に求まります。
後半では、x=-t (あえてマイナスをつけているのがミソです!)における法線の式を計算して、そこに(x0, y0)を代入することになります。こうしてtの3次方程式ができて、この実数解が1つになる条件を考えるのですが、実はこの方程式が(1)で考えた3次方程式その物になります!! これに気付けると条件検討をショートカットすることができます。
<筆者の解答>