このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
12回目の今回は2008年になります。
第1問
(筆者注:(1)は重心ではなく、垂心)
ベクトルの問題です。
(1)BC⊥AHなので、Hはy軸上にあります。これを利用しつつ、AB⊥CH (またはCA⊥BH)となる条件を求めましょう。
(2) QMとQPの内積が0になることを確かめます。
(3) (2)の結果から円の直径がPMになることが分かります。
(4) NOとNRが、円の半径と一致することをチェックしましょう。
<筆者の解答>
第2問
最短経路を数える問題です。
(1)これは教科書レベルでしょう。「右移動」と「上移動」の各6個の事象を並べ替えた個数に一致します。
(2) 余事象を考えるとよいです。Cを通る経路、Dを通る経路、CとDを両方通る経路を調べることで求まります。
(3) これは実際に図を描いて、各点に場合の数を書き込み足していくことで求まります。
ちなみに今回は6×6のマス目でしたが、これが一般のn×nのマス目の時は、(3)の答えは2nCn/(n+1)で求まり、「カタラン数」と呼ばれています。
<筆者の解答>
第3問
行列の問題です。
(1)実際に式を計算してみればよいです。a=0の場合とa≠0の場合に大別されます。
(2)a=0の場合は、A=Eなので対称移動もクソもなく「移動させない」行列になりますのでとりあえず除外します。
a≠0の時は、(1)の結果からPが直線x=2y上にある時はPのまま移動しません。よって、Aが対称移動になるためには、x=2yと垂直なベクトルがAによって向きだけが反転すればよいと分かります。
(3)ケーリーハミルトンの定理から、B^kがBの式で書くことができるので、2項定理を利用してA^nを計算しましょう。
<筆者の解答>
第4問
双曲線と円の交わりについて考える問題です。ここでC2の中心は、C1の焦点の一つになっています。
(1)(2)
C1, C2の交点を求めたいのでx,yの片方を消去して考えます。1次の式が登場していないxの方を消去するとすっきりしますが、このとき、C1の式からy^2≧b^2でないとxが実数にならないことに注意です。
その上でyの値が2つ求まるので、そのそれぞれがy^2≧b^2を満たすか否かで場合分けして実数解の個数を調べましょう。
xが重解になるときが「接している」状態になります。
(3) (2)の結果にc=b/2+1を代入して条件を愚直に処理していくしかありません。条件は2次曲線の形になるので、図示も中々大変です。
<筆者の解答>
第5問
関数の概形と、面積の増減を考える問題です。
(1) x≧0の場合と-1≦x<0の場合に分けてf'(x)を調べるのが先決です。最小値は比較的簡単に求まりますが、最大値は候補が2つ出てくるので大小比較が必要になります。具体的にはlog2/2と1/eの比較ですが、g(x)=logx/xの増減で調べることができます。
(2) どの部分の面積を考えているのかを具体的に図示すると見通しがよくなります。(1)の結果からaとlog2/2との大小関係で大きく場合分けされます。このとき、実はf(x)がy軸対称になっていることに気付けると楽になります。
f(x)=aの解を±αとおいて、具体的にS(a)を計算してaで微分して考えていきます。このとき、α自体もaの関数になっていることに注意しましょう。
<筆者の解答>