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平成の九大理系後期数学 -2018年-

このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

2回目の今回は2018年になります。

 

第1問

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いわゆる「ウォリス積」を背景にした積分の計算問題です。誘導がとても丁寧なので、うまく乗っかっていきましょう。

 

(1) x=π/2-tと変数変換すればsinをcosに変えることができます。

 

(2)三角関数の部分がキレイに積分できるので、部分積分を利用しましょう。

 

(3)積の微分を丁寧に計算するだけです。

 

(4) (3)の結果を逆に積分することで、Inの漸化式が求まります。

 

(5) (4)の漸化式を繰り返し使います。I1だけは個別で計算する必要がありますが。

 

<筆者の解答>

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第2問

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複素数平面に関する問題です。

 

(1)分母と分子をそれぞれ極形式に直せばよいでしょう。複素数の割り算は、絶対値は割り算で、偏角は引き算という形になります。

 

(2) z=r(cosθ+isinθ)とおいて、rとθの満たすべき条件をそれぞれ求めていきます。

 

(3) (2)の図示ができていれば、その図から瞬殺です。

 

<筆者の解答>

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第3問

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該当調査を題材にした確率の問題です。「あなたは20代ですか?」って相当失礼な質問だと思うんですが・・・しかも正直に言うか嘘をつくかをサイコロで決めるっていうのもトンデモ設定です笑。

 

(1) 3人が嘘をつき、2人が正直に話す確率を求めればOKです。

 

(2)1人だけいる20代の人が正直に言うか嘘をつくかで場合分けをします。

 

(3) (4) 20代の人に出会う確率がpなら、5人中5p人が20代となります。

ここでは5pが整数になる、p=0,1/5, 2/5, 3/5, 4/5, 1 に限って検討することにします。(それ以外を考え出すと20代の人が半人とかになってややこしくなるので)

 

それぞれの場合について、20代の人のうち何人が嘘をつくか、残りの人が何人嘘をつくかで場合分けして確率を計算していきます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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平面に接する3つの円を題材にしたベクトルの問題です。

C1~C3の中心をA1~A3とします。

 

若干抽象さを取り除くために、αをxy平面とし、A1~A3は全てz>0にあるとして考えます。ez=(0,0,1)とします。

すると、OAk = OPk + kr×ezとベクトル表示できます。

 

(1) 図形的に考えると、A3'をαに対してA3と対称な点とすると、Qが直線A2A3'とαの交点であれば、A2Q+A3Qは最小になります。OQをベクトル表示したとき、Qがα上にあればezの係数は0になります。

 

(2) βは、A1を始点にして、一次独立な2つのベクトルA1A2とA1A3によって出来上がる平面であり、αはP1を始点にして、1次独立な2つのベクトルaとbによって出来上がる平面です。この事実を使って係数比較を行うとよいです。

 

(3) A2R^2を計算して、それを最小にするようなtを調べればOKです。

 

<筆者の解答>

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第5問

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放物線と直線で囲まれた領域の面積と、回転体の体積を計算する問題です。

 

(1)で交点を調べてグラフを描き、(2)で面積Sを計算して微分で最小値を調べて、(3)で回転体の体積Vを計算します。

 

(3)はaのまま計算して、最後に(2)の結果を代入した方がミスがないと思います。

 

<筆者の解答>

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