ちょぴん先生の数学部屋

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令和の北大理系後期数学 -2022年-

先日行われた、北海道大学の2022年度の後期日程の数学を解いていきます。

 

 

第1問

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整数問題です。

Sの式を、S=(a+b+c) (a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)と因数分解することが全ての出発点になります。

 

(1)上の因数分解から、a+b+c=0ならS=0はすぐにわかります。

 

(2) さらにSの式を変形すると、S= (a+b+c) { (a+b+c)^2 -3(ab+bc+ca) }となるので、Sが3の倍数になる必要十分条件はa+b+cが3の倍数になることで、さらにこの時Sは9の倍数になることが分かります。

つまり、2022のような「3では割り切れるが9では割り切れない整数」はSになりえません。

 

(3) (2)での考察から、a+b+cは3を素因数に含んだ63の約数、つまり3,9,21,63のいずれかに限られます。なので、あとは場合分けして調査です。1文字消去して平方完成することで、a,b,cの候補を絞ることができます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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領域の図示、包含関係の把握の問題です。

 

(1) ①と②を図示して、①の領域から②の領域をくり抜けばよいでしょう。

 

(2) 命題は結局、「①が②に含まれる」になるので、①の各頂点が②の中に収まる条件を考えればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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直線に対する対称移動に関する問題です。

 

(1)lは線分BQの垂直2等分線となるので、「BQ⊥l」「BQの中点がl上にある」の2条件からlの式が求まります。

 

(2) (1)でQがy軸上にある状況は考慮できているので、あとはPがx軸上にくるように条件を決めていきます。P(p,0)とおいて(1)と同様に考えてa,b,pの関係式を求め、pを消去すればaがbの式で求まります。

 

「ちょうどlが3本ある」ということは、aを固定したときに対応するbが3つある、と同義です。なので、a=f(b)としたときにy=f(b)のグラフとy=aのグラフが3点交点を持つ条件を考えればOKです。

 

<筆者の解答>

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第4問

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複素数平面に関する問題です。

 

(1) lが∠ABOの2等分線ということは、BAベクトルの偏角がBPベクトルの偏角の2倍になっていることが分かります。これを利用することで、zの候補が2つ求まります。あとはzの虚部の情報から候補を一択にできます。

 

このときに、BAベクトルを表す複素数が(ai+1)^2と綺麗に因数分解できることがミソです。(2)でも多用するので、w=ai+1とおきます。

 

(2) lとOとの距離は、結局(1)で求めたzを使って|z|と書くことができます。|z|^2を計算してtで平方完成すると、wを固定したときにはt=(wの実部)÷(wの絶対値)= cos (wの偏角)の時に|z|^2は最小になると分かります。その状態でwを動かして|z|^2を最小化していきます。

 

すると、結局wの偏角の最小値が求まれば十分だと分かりますが、aの関係式からwの軌跡が求まるので、図形的にwの偏角が最小になる瞬間を考えることができます。

 

<筆者の解答>

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