ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の東工大数学 1999年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の1999年の問題を取り上げます。

第1問

f:id:stchopin:20210902174116p:plain



2つの数の大小関係を調べる問題です。

 

a,b,pの3つの文字が登場しているので、この3つのどれかで微分して調べれば良さそうですが、どの文字で微分するか?

 

pについては全て指数の肩に乗っているので、微分をしたところで形がほとんど変わらず、それどころか余計なlogがいっぱいくっついてしまい、かえって汚くなってしまいますので分が悪いです。なので、aかbで微分するのが得策でしょう。aとbは完全に対称なので、好きな方で微分すればよいです。

 

この方針で微分すると、pと1の大小関係によって場合分けが発生することが分かります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20201105174747p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20210902174144p:plain



正n角錐の体積を最大化する問題です。

 

(1)底面の正n角形の面積は外接円を使うと計算でき、母線の条件から高さも求まります。最終的に基本的な3次関数の最大化に帰着します。

 

(2) (1)ができていればサービス問題です。sinx/x→1を使うタイプの極限です。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20201105174814p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20210902174206p:plain



二等辺三角形を2等分する線分についての問題です。

 

考える線分は、端点が「底辺a上にある場合」と、端点が「底辺a上にない場合」の大きく2パターンがあるので、それぞれについて考察します。比を文字で設定して考えるとよいでしょう。考察の過程でaの値に関する細かい場合分けが必要になります。

 

2パターンそれぞれの最小値が求まったら、両者を比較することになります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20201105174838p:plain

f:id:stchopin:20201105174901p:plain

 

第4問

f:id:stchopin:20210902174229p:plain



等式証明の問題です。

 

見た目は相当にゴツいですが、見かけほど難しくありません。

左辺に登場している積分とΣを完全に計算しきることはできないので、数学的帰納法の利用を考えるとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20201105174925p:plain

 

第5問

f:id:stchopin:20210902174300p:plain



複素平面上の点の限りなく近づく点を求める問題です。

 

(1) Pnを表す複素数をpnとして問題文を数式化すると、

pn - pn-1 = 2/3(cosπ/3 +isinπ/3) (pn-1 - pn-2) と書くことができます。複素数の掛け算は、このように回転と縮尺を同時に操作できるので便利です。

この漸化式を解いてpnを求め、極限を飛ばしてあげましょう。

 

(2) (1)と同様にQ∞を計算してあげればよいです。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20201105174953p:plain