ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大数学 1998年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の1998年の問題を取り上げます。

第1問

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線形計画法の問題です。

 

究極的には、4つの不等式を満たす領域と、直線k=x+yが交点を持つkの最大値を求めることになりますが、この問題の難しいところは、その領域の形状がaによって変わってしまうことです。

 

取っ掛かりがないと非常に考えにくいので、まずは、ax+(4-3a/2)y =8という直線が定点を通らないかを考えるとよいでしょう。aの恒等式として定点を求めると、aによらずこの直線が(3,2)を通ることが分かります。よって、(3,2)を通る直線を回転すればよいことが分かります。これだけでも大分見通しが良くなります。

 

一方aの絡まない直線の傾きで登場するものは、-1, -2/3の2種類です。直線k=x+yとの交わりを考える上では、ax+(4-3a/2)y =8の傾きが-1や-2/3より大きいか小さいかが極めて重要になるので、これによってaの場合分けが発生します。これに基づいて図を描いてk=x+yとの交わり方を考えましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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長方形の隣り合う2辺に内接する円についての問題です。

 

(1) 題意を満たす円は長方形の4隅に最大4つ作ることができ、Aを一個準備すれば、それに外接する円は最低3つは必ず存在することが分かります。残り1つの円がAに接することができるかどうかの条件を考えることになります。

Aがx軸とy軸に接するように座標設定して考えると見通しが良いですが、計算はかなり大変です。

 

(2) (1)で求まった4つの円の半径をきっちり大小比較する必要があります。図を描いてある程度あたりをつけて調べるとよいと思います。

面積の最小値は、変数変換など使って少しでも楽になるようにしてから微分して考えましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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関数列が定義できる条件と、積分値・極限の問題です。

 

(1) 漸化式に従ってf1,f2,f3・・と調べるとfnの形が予想できるので、まずはそれを数学的帰納法で証明します。fnが定義できなくなってしまう条件は、f( fn-1) の分母が0になってしまうこと、つまりfn-1=0となることなので、任意のnについてfn(t) ≠0 となるtの条件を求めればOKです。

 

(2)積分を素直に計算していけばよいのですが、極限を取る時はa=1の場合だけ例外扱いになることに要注意です。

 

<筆者の解答>

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第4問

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楕円に絡めた角度に関する問題です。

 

(1) 図を描くと分かるのですが、問題文の条件を満たすにはp<0でないといけないことが分かります。この下で、lの傾きやBAの傾きをtanを使って表現して角度の条件に落とし込みます。意外と、角度の関係式のどのタイミングでtanを噛ませるかで大きく難易度が変わります。コツは、2つの文字を分離してからtanを噛ませることです。

 

(2) (1)ができていれば難しくありません。分子の有理化を使うとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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