理系数学の最難関の一角、東京工業大学の1997年の問題を取り上げます。
第1問
領域に関する問題です。
(ax)^2+(by)^2 = 1という楕円が、直線の下側にすっぽり入る条件を求めることになりますが、a,bに符号が指定されていません。a≠0, b≠0であれば問題なく楕円になるのですが、どっちかが0だと直線に、両方0の場合は意味のない式になります。
よって、まずはa,bの少なくとも一方が0になってしまうイヤな場合を先に処理してしまいましょう。図を描けば答えはすぐに分かります。
残すはa≠0, b≠0の場合で、このときは問題なく楕円になります。この楕円の周上のすべての点が直線よりも下側にある条件を考えればよく、パラメータ表示すると見通しが良くなります。
<筆者の解答>
第2問
極限の計算問題です。
(1) 問題文の引数kはn~2nとなっていますが、引数をK=k-nと変換すればKは0~nとなって見慣れた形になります。そうすると区分求積法で計算できます。
(2) y=1/(a+k) のグラフの面積を使ってΣを評価し、はさみうちに持ち込めばよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
分数の絡んだ不定方程式の問題です。(1)(2)は独立しており(1)は基本問題ですが、(2)は取っつきにくいです。
(1) 両辺に2xyをかけて積の形を作って解く典型問題です。
(2)数学的帰納法で考えます。1/x1 +・・+1/xl =r の解が有限だと仮定し、1/x1+・・+1/xl+1 = r'を満たすxl+1が有限になることを示します。
<筆者の解答>
第4問
直角三角形に内接する正3角形の面積の最小値を求める問題です。
(1) 状況を図に描いて、正弦定理を使うと面積を計算できます。
(2) (1)をヒントにして考えれば、正三角形をくり抜いてできる3つの三角形のうちの1つの角度をθとして3つの三角形の面積を表現すればよいでしょう。すると正三角形の面積をθだけの式で書けるので、θによる増減を考えましょう。
<筆者の解答>