ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応理工数学 2019年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2019年の問題です。

第1問

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慶応の第1問は小問集合が定番です。今回も例に漏れずそうなっております。

 

(1)は xlogx→0 というよく知られた事実を証明する問題ですね。普通に、√xlogxを微分して考えればよいのですが、ルートがイヤなのと対数があるというのをうまく利用して、X=√xと変数変換してから微分するとかなりスッキリするでしょう。(ⅰ)の式にxをかけてはさみうちを使えば、(ⅱ)が証明できます。

 

(2)複素数の方程式を解く問題です。2番目の式を使うことで、|z+1|の値が分かります。複素数平面上で、|z+1|=定数、|z-1|=定数は両方円を表しているので、2つの円の交点を求めればいいと気づきます。

 

(3)ベクトルの入った積分の計算問題です。見た目はごついですが、「分子の式が、分母の式の微分になっている」と気づければこっちのものです。logの形に積分できます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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2種類の2次関数を滑らかにつなげた曲線についての問題です。

 

(1)まずは、考える曲線Cをグラフに描くことが第一でしょう。微分(または平方完成)で増減を調べましょう。この時点で、f(x)はx=0で連続かつ微分可能なことが分かります。

 

(2)Cの接線について調べます。通常、2次関数の接線は接点以外で自己交差することがないので、問題文のa,bは必ず異符号になります(=別の形の関数に属している)。これに注意してbをaの式で表現していきます。

 

(3)2つの接線が直交するので、f'(a)f'(b) = -1になります。(2)の結果を使ってaを全て求めていきます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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確率の問題です。

この手の「取り出した後に戻さず引き続ける」シチュエーションは、「一度に複数枚取り出す」と考えたほうが分かりやすいことが多いです。

 

(1)3枚目で終わる時は、「6枚から一度に3枚引いた時、その3枚が連番になっている場合」です。

5枚目で終わる状況は、「4枚目では終わらず、5枚目で終わる」なのですが、よくよく考えてみると、5枚引いてしまえばどうあがいても3連続の整数が含まれるので必ず終了します。よって、「4枚目で終わらない=6枚から4枚を一度に引いた時3連続整数が含まれない」場合を調べればよいことが分かります・

 

(2)前半については、

4枚引く数字を(k, k+1, k+2, k+3)と固定すれば、4枚目にk+1かk+2のどっちかを引けば「4回目で終了」が実現できます。

後半については、前半の答え(シ)に加えて、「4連続数にならない場合」を考えます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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長方形の面積の総和を計算する問題です。

 

(1) f(x)を微分するだけの簡単な問題です。

 

(2) (1)と同じことを考えればよく、(1)に比べて長方形の左の辺だけがずれている形になるので、g(x) = (x- pn-1)*e^(-bx)を最大化すればpn, anが求まります。

 

(3) anが等比数列なので、等比数列の和と極限を考えればよいです。

 

 <筆者の解答>

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第5問

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正四角錐にまつわる体積の問題です。

 

(1) 高さと底面正方形の1辺の長さをθで表し、体積を計算する基本問題です。

 

(2) (1)で求まった(ト)を、θを動かして最大にすればよいわけです。このままθで微分してもOKですが、(ト)がcosθだけの式で書けるので、t=cosθと置いてtの3次関数にして処理したほうが楽でしょう。

 

(3)K1は、円錐から、底面が等しく高さの低い円錐を引いたものになりますので、底面の半径と高さを調べていきます。

また、K1, K2の共通部分は、結局△OACと△OABを同じ平面に描いたときに重なってできる三角形を回転してできる立体になるので、この重なり部分を調べることに帰着します。座標設定すると見通しが良いと思います。

 

<筆者の解答>

 

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