ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -2016年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

4回目の今回は2016年になります。

 

第1問

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3次方程式の有理数解に関する問題です。割とよく取り上げられるテーマですね。

 

(1)α=p/qとおいて、q=1でないといけないことを背理法で示します。

 

(2)αが1の約数でないといけないと分かるので、α=1かα=-1に絞られます。あとはそれぞれ代入してmを求めましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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正五角錐の底面積、体積を求める問題です。

 

(1)cos36°を計算する有名な問題ですね。与式をcos36°の3次方程式に帰着させればOKです。

 

(2)正五角形の外接円半径rが分かれば面積計算できます。rは余弦定理で計算可能です。最終的に整理するとtan36°の値が必要になりますが、cos36°から直接計算することができます。

やってみると分かるのですが、sin36°は2重根号がついた汚い式になるので出来るだけsin36°を使いたくない、という意識で計算しています。

 

(3)Kの高さhを求めれば体積が計算できます。こちらについても出来る限りcos36°だけの式で書けるように工夫すると、計算が楽になります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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3次関数の接線に関する領域の問題です。

 

(1)x=tでの接線の式を出してからPの座標を代入してできるtの3次方程式が、

・3つの実数解を持つ

・その3つの解が、全て、接線の傾き≦2を満たしている

となるように条件を求めていきましょう。後者については、グラフを描いてみると必要な条件が見えてきます。

 

(2)対称性を意識すれば、実質「三角形ー積分」でSの面積が計算できます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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確率と整数の融合問題です。

 

確率を考える際には、箱と玉を全て区別して番号を付けて考えると誤りがないです。

 

そうすると、玉を箱に入れるという操作は、「k個の各玉に1~nの箱の番号を書き込む操作」と言い換えることができます。

 

(1)k個の玉に割り振られる箱の番号が2つになる状況を考えます。例えば箱1,2に入ると考えれば、割り振られる番号はどれも1,2のいずれかであり、かつ全部1とか全部2とかにならないわけです。そうすると割り振り方の総数が求まります。

 

あとは入る箱2つの選び方を加味すれば確率が計算できます。

 

(2)考え方は(1)と同じです。こちらは割り振られる番号がちょうど3つになる場合の数を調べる必要があります。

 

(3)p≧qを式変形していくと、n≦2+(kの式)となります。問題文でn≧3という条件が課されているので、上記で(kの式)≧1になっていないといけないことが分かります。

 

このkの式は、ざっくり「2のk乗÷3のk乗」の形になっているので、1以上になるのはレアケースだと想像できます。

 

これを手掛かりにkを絞り込んでいきましょう。

 

まぁ、直感的にも玉を適当に入れたときに、箱が2個になるのは3個になるのに比べてレアだなと想像できそうなもんですが。

 

<筆者の解答>

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第5問(a)

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実数の大小を比較する問題です。

 

(1) f(t)=t/(1+t)の増減を調べれば瞬殺でしょう。

 

(2) (1)の結果から、|a-b|や|b-c|が|a-c|より大きければ、右側の式の方が大きくなるのは当たり前です。なので、|a-c|が一番大きくなる場合に絞って考えることになります。

 

そうやって考察すると、bがaとcに挟まれた場合がその場合だと分かるので、その時は|a-c|=|a-b|+|b-c|となるので、差を計算しやすくなります。

 

<筆者の解答>

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第5問(b) ※数Ⅲ必須

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数列の極限を調べる問題です。

 

(1)y=xとy=(√3)^xが交点を持たないことを証明します。両者の差を取った関数が0にならないことを証明しましょう。

 

別解としては、対数を取ってlogx/x=√3にはならないことを示す、という方法があります(こっちの方が楽でした)。

 

(2) (1)の結果から、任意のxに対してx<(√3)^xとなることが言えるので、an<an+1が示せます。つまりanは単調増加です。

 

これだけではanが発散するとは限らないので、an+1 -anが常にある値以上だと説明する必要があります。

 

<筆者の解答>

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