ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の奈良県立医大後期数学 -2014年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

9回目の今回は2014年です。

第1問

微分方程式に関する問題です。

 

両辺をxで微分したいのですが、被積分関数にもxが含まれていてそのままでは微分ができません。x-t=sと変数変換することでxを積分から追い出してあげれば、両辺をxで微分できるようになります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

不等式の証明問題です。

 

(1)これは「コーシーシュワルツの不等式」という有名な不等式です。

ヒントを考慮すると、左辺ー右辺を計算して「2乗の和」にしてあげればよさそうだと分かります。

ただ、n個分の和の2乗が出たりしてそのままでは面倒なので、数学的帰納法を利用するとよいでしょう。

 

(2) (1)の式でyi=1とすればΣxiの情報が、yi=1/xiとすればΣ(1/xi^2)の情報が・・・とやりたい所なのですが、そうすると不等号の向きがかみ合わずうまく与式が示せません。

 

つまり、(2)を証明するに当たって、(1)を使っては「いけない」ということです。いや~とっても意地悪な出題ですね。直前に(1)があれば、十中八九(1)を使えば示せると思うじゃないですか。

 

ということで、方針を切り替えます。問題文には(1)にはなかった「x1~xnは全部正の実数」という情報があるので、「相加相乗平均の関係」が使えそうだと気付ければ勝ちです。

 

(3)ガウス記号の性質からr<[r]+1が言えるので、(2)の結果と合わせて少なくともa≧1であれば(N)を満たすと分かります。ということは、a≧1以外に(N)を満たすものがないと言えれば、題意が示せたことになります。

 

さて、(N)が「任意の正の実数x1~xnで成立」するのですから、x1~xnがとある特別な場合にも、当然(N)が成り立ってないといけません。(2)の等号成立条件はx1=・・・=xnなので、その時の(N)を考えると、(N)の不等式は、

a>n/x1^2 - [n/x1^2]

となります。この右辺の取りうる値が「1未満」であることが言えればOKです。実際、右辺は1未満でありつつ、いくらでも1に近くすることができます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

1次変換に関する問題です。

 

(1)C上の点(t, 1/t)がΦによって(X,Y)に移るとき、(X,Y)がD上に乗る条件を調べていきます。その条件が「tについての恒等式」であればOKというわけです。

 

(2)Φ(P)=PとなるPが存在する条件は、「A-Eが逆行列を持たないこと」であることが分かります。これでa~dの方程式が1本求まり、(1)の時点で3本の方程式が求まっているので、これらを連立すればa~dが求まることになります。

 

Aはいくつか求まりますが、Pの座標が実数でないといけないという条件から絞り込むことができます。

 

<筆者の解答>

 

第4問

数列の個数を数える問題です。2016年の第3問の類題と言えます。21世紀の奈良県立医大後期数学 -2016年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

 

まずは条件(2)の読み替えがキーポイントです。

ai -iが偶数ということは、aiとiの偶奇が一致するということです。すると、数列は「奇数→偶数→奇数→偶数→・・・」と交互に並ぶことが分かります。

さらに読み替えてあげると、「a1が奇数」かつ「隣り合った項の差が奇数」となるので、ai+1 -ai =2di +1 (di: 非負整数)と書くことができることになります。

 

a1とd1~dk-1が1個決まれば、数列も一意に決まるので、結局(a1, d1,・・・,dk-1)の組数を調べればよいことになります。

 

ここまでわかれば、後の流れは2016年第3問とほとんど一緒です。

 

注意すべきは、まずk=1の場合を例外扱いする必要があることと、n-kの偶奇による場合分けが発生することです。

 

<筆者の解答>