私大文系入試で最高難易度と呼び声の高い、早稲田大学商学部の数学の問題を解いていきます。
2回目の今回は2021年です。
第1問(1)
三角関数の計算問題です。
A=π-2α-2βになることに注意して、正弦定理を使ってyを計算していきます。途中積和の公式での因数分解が威力を発揮します。
<筆者の解答>
第1問(2)
微分を交えた不等式評価の問題です。
こちらの問題ですが、数Ⅲの「積の微分」の知識を知ってないと厳しいかと思います。
まず問題文の条件から、f(x) = x(x-1)・・・(x-n)/n!であると気付くことが第1歩です。
これを微分してあげると、「積の微分」から、f(x)をx-j (j=0,1,・・,n)で割ったものを全部足したものがf'(x)になると分かります。これにx=kを代入してあげると、f'(k)=(-1)^(n-k)/nCk となって2項係数が登場します。
ここまでくれば、不等式の左辺が「2項定理」で計算できることに気づくので、計算してあげましょう。
<筆者の解答>
第1問(3)
条件付きで関数の最小値を求める問題です。
問題文のままだとx,y,zに対称性がなく取っ付きづらいです。なので、α=x, β=y/2, γ=z/3と変数変換してあげることで、対称性のある形に変えてあげます。
こうしてあげると、等式の方からはαβ+βγ+γα=αβγ (=kとします)がわかり、α+β+γ=mとすると、(x-1)(y-2)(z-3)=6(m-1)が分かります。
よって、mの最小値が分かれば、(x-1)(y-2)(z-3)の最小値が自動的にわかることになります。
まずはkを固定したときのmの最小値を、相加相乗平均で求めてあげるとよいでしょう。
<筆者の解答>
第1問(4)
場合の数を求める問題です。
個人的にこの年のセットの中で最難問だと思っており、私自身残念ながら最後まで解き切ることができませんでした。穴埋め方式でコスパも最悪なので、本番では真っ先に捨てるべき問題だったかと思います。
とはいえ、出来たところまでは解説していきます。
まずP0~P5は「重複も許す」と書かれているので、異なる点がいくつあるかで場合分けを行うこととしました、
P0=Oからどう進む経路があるかを虱潰しに調べることになり、その際は、Oが他の点とどのように繋がっているかで分けて考える必要があります。
異なる点の数が増えるほど、点のつながり方のパターンが増えていき、しかも3次元を考えないといけないので、非常に煩雑で分かりにくいです。
せめて「座標空間」ではなく、「座標平面」であればかなりマシな難易度になったかなと思いますね(それでも十分難しいと思います)・・・
<筆者の解答>
第2問
立方体と円柱側面に絡む、線分の長さに関する問題です。
(1)こちらはせめて解いておきたいです。全体を面ACGEで切った断面を考えてしまえば早いでしょう。
(2) これは文系受験生が解くには難問だと思います。
まず、W自体をそのままイメージするのは非常に困難ですので、Vの底面に平行な平面で切った時の断面を使って考えやすくします。そのために、座標軸を設定すると見通しが良くなります。具体的には、Vの回転軸をz軸としたとき、平面z=tで切った時のWの断面を調べることになります。
さて、「Wに含まれるVの側面上の線分の長さの最大値」はどう考えればよいのか?
まずVの側面は、言うまでもなく曲面です。そんな曲面上にある「線分(つまり曲がっていない真っ直ぐな線)」となれば、それは「回転軸=z軸に平行な直線」以外に考えられません。
上記の平面によるVの断面はつねに半径1の円(中心も不動)となるので、この円上の点で、「Wの断面」の中に最も長く居続けた点こそが、「長さが最大になる線分」を描くことになります。
よって、Wの断面の中にいるtの区間が最大になるような、円周上の点を探せばよい、ということになります。
普段「立体の体積の計算」で、立体の断面を切ることに慣れている理系の学生でも、なかなか思いつきにくい着眼点だと思います。
<筆者の解答>
第3問
2021以下の、正の約数の和が奇数になる自然数の個数を数える問題です。
(1) 一般に、Nが2^a×3^b×5^c・・・と素因数分解されるなら、Nの約数の合計Mは(1+2+2^2+・・・+2^a)(1+3+3^2+・・・+3^b)(1+5+5^2+・・・+5^c)・・・と計算できます。225なら、225=3^2×5^2と素因数分解できます。
(2) M=(1+2+2^2+・・・+2^a)(1+3+3^2+・・・+3^b)(1+5+5^2+・・・+5^c)・・・
となっていて、まず1+2+2^2+・・・+2^aはaの偶奇によらず常に奇数です。
一方、1+3+3^2+・・・+3^bは、bが偶数なら奇数に、bが奇数なら偶数になります。
今回Mが奇数だと言っているので、3以上の素数の部分については、素因数分解したときの指数がすべて偶数じゃないといけないと分かります。
以上をまとめると、Mが奇数となる条件は、Nが「2のべき乗×(奇数の平方数)」、つまりN= 2^m × (奇数)^2となっていることだと分かります。
あとはmの値で場合分けして、こんな形になるNを2021以下の範囲で調べてあげます。
<筆者の解答>