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21世紀の奈良県立医大後期数学 -2022年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

初回の今回は2022年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)

第1問

sinxの級数展開を示す問題です。

 

(1) 部分積分を使って計算していきます。

 

(2) (1)の結果を何度も利用することで証明できますが、今回はf0(x)=sinxから番号を上げていく形で使うとよいです。

 

ちなみに右辺の最後の項(-1)^n×fn(x)はn→∞の極限でxによらず0に収束することが示せるので、右辺の無限級数はsinxに収束することが分かります。この形は、いわゆるsinxの「テイラー展開」となっています。

 

<筆者の解答>

 

第2問

ベクトルに関する最大最小の問題です。

 

(1)2つの関係式を連立すればよいです。

 

(2) (1)の結果を使うと|a-b|をu,vの式に書き換えることができ、この2乗を計算すると実質u・vの取りうる値の範囲を調べることに帰着します。

u,vはともに大きさ1なので、内積の定義からして-1≦u・v≦1がすぐに分かるでしょう。

 

ただ、u・vの係数の符号によって、最大値が1,-1のどちらの時かが変わるので場合分けが必要となることに注意です。

 

<筆者の解答>

 

第3問

ガウス記号に関する等式証明の問題です。

 

(1)一般に、r-1<[r]≦rと不等式評価できるので、それを利用すると、左辺はa-2より大きくa以下であることが分かります。

このとき、aになるのはka/bが整数の時なのですが、aとbが互いに素でかつ0<k<bの時には整数になりえません。そのことを説明しましょう。

 

(2)和の順番を変えることで(1)の結果が利用できそうです。その際に項の個数の偶奇が重要になってくるので、bの偶奇による場合分けが発生します。

 

特に注意を要するのはbが偶数の時で、このときaとbが互いに素なのでaは必ず奇数になることを使う必要が出て来ます。

 

<筆者の解答>

 

第4問

整式の割り算に関する問題です。

 

(1)Cの式を両辺xで微分すると、P(x)P'(x)=Q(x)×(多項式)となって証明完了です。

 

(2) P(x)がQ(x)で割り切れなければ題意が示せるので、このことを証明します。方法は背理法でよいでしょう。

 

(3)Cの式で次数を比較することで、まずはP'(x)とQ(x)の次数が一致することが分かるので、(2)の結果から「実数」rを用いて、P'(x)=rQ(x)とかけます。

 

ここからrを特定していくのですが、その際はP(x), Q(x)それぞれの最高次の項そのものを比較していくとよいです。

 

<筆者の解答>