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平成の九大理系後期数学 -1992年-

このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

28回目の今回は1992年になります。

 

第1問

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三角関数に関する回転体の体積を計算する問題です。

 

(1) f(x)-g(x)=sinx-cosxとなるので、合成を使えばsinx-cosx≧0となるxの範囲は容易に求まります。

 

(2) こちらもグラフから容易に積分の式を作れるので、それを愚直に計算していきましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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点列に関する問題です。

 

(1)状況を図に起こせば、相似の関係から各線分の長さがxnを使って次々と求まっていきます。

 

(2) (1)で作った漸化式を解くだけです。

 

(3) Snをxnの式で書いてしまえば、(2)からxnの極限は簡単に求まるのでSnの極限も求まることになります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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行列に関する問題です。

 

(1)x=(x,y)とおいて、|A(n)x|=n|x|を変形していけばよいでしょう。

 

(2)A(m)×A(n)を実際に計算すると、各成分ともm,nについて対称になることが分かります。

 

(3)A(1)^3を直接考えるのは大変なので、一度両辺にA(1)^(-1)をかけてあげると(1)と(2)の結果が使えて考えやすくなります。

 

右辺が0ベクトルになるように変形したとき、任意の(x,y)について等式が成り立つには、係数の行列がOになっていればよいですね。

 

(4) A(2)が、原点の周りに45°回転し長さを2倍する行列だと気付ければ、何回回転するかだけ気にすればよいので計算が楽になります。

 

<筆者の解答>

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第4問

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陰関数の極限を考える問題です。

 

(1) h(x)=x^2*e^xとおくと、h(x)は単調増加なので、h(x)=1/aの実数解が1つしかないことは自明です。f(x)を微分するとh(x)が登場します。

 

(2) h(p)=1/a, g(a)=ae^p+1/pをそれぞれaで微分します。その際、合成関数の微分の考え方から、p'(a)が登場することになります。

 

(3) 前半については、y=h(x)が単調増加で上限もない事から分かります。

後半の極限については、logaが登場しているので、h(p)=1/aで対数を取ればよさそうだと分かります。

 

<筆者の解答>

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第5問

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確率の問題です。

 

(1)これは2項分布と呼ばれる有名な確率分布で、この分布に従う確率変数Xの期待値はnpとなることが知られています。具体的な証明ではCのパラメータをいじくり2項定理を使える形に持ち込みます。

 

(2)2個のサイコロの目の和がちょうどaになる確率b(a)を先に考えると見通しがよくなり、このb(a)を足し上げればpになります。a=7を境に場合分けが発生することに注意です。

 

(3)q(r)の増減を考えるときに、q(r+1)/q(r)の値と1との大小関係を調べるのは定石です。これを利用して証明します。

 

(4) n=10, r0=7とすれば、(3)の結果から7/11<p<8/11となるので、そうなるaを(2)を使って調べます。pはaに対して単調増加なので、aの目星をつけて直接値を代入して不等式を満たすかをチェックしてあげた方が早いと思います。

 

<筆者の解答>

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