2024年も大学入試のシーズンがやってきました。
今回は、一橋大学の数学に挑戦します。
<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)
1. 整数問題(15分)
2. 2つの放物線で囲まれる領域の面積(10分)
3. 多項式の割り算(15分)
4. 空間内のひし形の面積(15分)
5. 円中心を含むような三角形の作り方(30分)
計85分
<体感難易度>
2<4<1=3<5
今年の一橋のセットは大分易しめな問題が多い印象です。
第1問はお得意の整数問題です。
第2問は典型的な放物線絡みの面積の問題のため、完答必須でしょう。
第3問は多項式の割り算ですが、2乗の形の2次式で割ってるところが少々厄介なポイントです。
第4問は空間図形の問題で、ベクトルを使えばよく発想で詰まるところはないと思います。
第5問は今年の東大文系第4問の三角形バージョンと呼べる問題です。
<個別解説>
第1問
整数問題です。
まずは左辺のΣを計算しないことには始まらないので、計算しましょう。整数問題においては「整数の積=数字」という形が攻略のカギとなるため、できるだけ左辺は因数分解した形で計算するように努めます。
すると、m(m+1)が2024×6の約数だと分かるので、そのようなmを全て列挙して、虱潰しに対応するnが求まるかをチェックしていきます。
2024×6に含まれる素因数は2,3,11,23だけなので、mとm+1の一方にその4つのどれでもない素因数が入った瞬間にNGとなります。なので、mの候補は本当に限られた物しかありません。
[訂正] 最初のシグマ計算で符号を誤る致命的なミスがあったため解きなおし解答を差し替えました。失礼いたしました。またm=22の場合が漏れていたため追記しました。
<筆者の解答>
第2問
2つの放物線で囲まれる領域の面積の問題です。
C,C'の交点のx座標を、接線が直交する条件を使って調べることが第一歩です。とはいっても、座標そのものではなく、その和と積の情報があれば十分です。
そうすれば1/6公式で容易く面積が計算できます。
<筆者の解答>
第3問
多項式の割り算の問題です。
通常、このタイプの問題では因数定理を使うのが基本です。f(x)を2次式g(x)で割ると余りは1次式以下になるので、
f(x)=Q(x)g(x)+ax+b
とかけて、g(x)=0の2つの解を代入することでaとbが確定する、という流れですね。
ところが今回、そうしようとすると問題が生じます。今回g(x)にあたるものが(x+1)^2とか(x-1)^2とかであり、いずれもg(x)=0が重解を持ってしまうパターンです。つまりa,bの連立方程式を作ろうにも、g(x)=0の解が1個しかなく、式が一つしか作れないのです。
こういう場合はf'(x)を使うという方法もありますが(別解で紹介)、今回は合同式の考え方を利用して解いてみます。
4次式f(x)を(x+1)^2で割ると1余るという話なので、
f(x)=(x+1)^2×(x^2+ax+b)+1
と書けます。
この式を、x-1が塊になるように変形していき、無理やり(x-1)^2で割った余りを構築してしまうのです。
その余りが恒等的に2になるように係数を決めてあげればよいわけです。
<筆者の解答>
↓別解
第4問
空間内のひし形について考察する問題です。
(1)各点の座標から、ACの中点がO, BDの中点もOになっています。この時点で少なくとも四角形ABCDが平行四辺形になっていることが分かります。
この状況でひし形になる条件は、対角線ACとBDが垂直になることです。
(2)ひし形の面積は△OABの面積の4倍となるので、煩雑な計算なしに求まります。答案ではaだけの関数として求めています。この場合、|a|<1, |b|<1と(1)で求まった条件からaの範囲を明確に絞る必要があることに注意です。
ここまでくれば、ルートの中身が4次式なので微分して増減を調べればOKです。
<筆者の解答>
第5問
円中心を含むような三角形の作り方を数え上げる問題で、この問題の「四角形」バージョンが今年の東大文系第4問になります。
方針としては、Oを内部に「含まない」三角形の個数を調べて、余集合の考え方で確率を計算する、という流れになります。その方が個数が数えやすいです。
Oを内部に含まない四角形の数え方は、
1. 辺の長さが最長となる辺を固定する
2. 残りの1頂点の決め方を調べる。
3. 3頂点決まった状態で360°回転させて合計何通りできるかを考える
4.最長の辺を動かして合計する
というものになります。Oを内部に含まないなら、三角形全体を上半分に押し込めることができることに注意して、個数を数え上げましょう。
<筆者の解答>