私立最難関の一角、早稲田大学の理工学部の問題を取り上げます。今回は2003年です。
第1問
4次方程式の解についての問題です。
(1) 絶対値が1になる実数は、±1だけです。よってf(1)とf(-1)が0にならないことを証明しましょう。
(2)絶対値が1の虚数解を持つ2次方程式は、x^2 +Ax +1 =0 と書くことができます。よって、f(x)はこうした2次式の積に因数分解されることになります。
(3) f(x) = 0 を実際に解きましょう。共役な虚数解が2組出てくるので、複素平面上では台形になります。
<筆者の解答>
第2問
文字列の変換を題材にした場合の数の問題です。問題文の理解が肝要です。
(1)結局考えるPの末尾は「11」となることが絶対条件です。n≧3のときは「0111」みたく末尾の「11」の左側が変換に巻き込まれてしまうケースがあるので、慎重に数えましょう。
(2) 「0と1のみからなる列P」の中で、
Pの最終系の末尾が「2」か 「0」になるものを考えると、そこに11を追加すれば、最終形の末尾が「2」となります。
よって、末尾が「0」となるものの個数をbnとして、anとbnの漸化式を立てます。
(3) (2)で求まった漸化式を最後まで解き切ります。
<筆者の解答>
第3問
円の接線に関わる点の軌跡に関する問題です。
(1) 図を丁寧に描いて、図形的にQの座標を求めましょう。
(2) dx/dθ, dy/dθ を計算することで置換積分ができます。
(3) (2)で書いた定積分の計算を実行することに帰着します。
<筆者の解答>
第4問
球と正8面体についての体積の大小関係を調べる問題です。
この問題の最大の注目ポイントは、「a,b,cを求めよ」ではなく「a,b,cの大小関係を求めよ」になっていることです。実際やってみると分かりますが、a,b,cを実際に計算しようとすると詰まってしまうはずです。よって、普段の体積を求める問題とは様相が異なってきます。総じて発想の必要な難問です。
(1) ベン図を使って考え、cをb, Sの体積、Tの体積を使って書いてみましょう。
(2) SとTを考えると、Tの各面からSの表面が少し顔を出す形になります。このはみ出した部分について考察すると、cについては積分を使って具体的に値が求まります。Sの体積は、a+cと書けるので、これを使ってaとcの大小を比較しましょう。
<筆者の解答>
第5問
微分方程式に関する問題です。
(1)これが案外一番難しいかもしれません。「sは、t=0からt=sまでの道のり」という解釈ができるか、意外な盲点です。
(2) (1)で求まった関係式をfだけの式にすることを考えてみましょう。
(3) 第3問と同じように図形的にQの座標を求めます。
(4) v' と w' を求めてMを表現します。変数変換をすれば、ヒントの定積分が出てきます。
<筆者の解答>