ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の東北大理系後期数学 -1990年-

このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

最終回の今回は1990年になります。

 

第1問

f:id:stchopin:20220402173846p:plain

 

一次変換を絡めた関数の増減に関する問題です。

 

(1)ケーリーハミルトンの定理を使って係数を合わせていけばよいでしょう。

 

(2)Qの座標を求めて、(OQ/OP)^2をpの式で表してあげればよいでしょう。

 

(3) (OQ/OP)^2をpで微分して増減を調べますが、極値を実際に計算するのは少々面倒ですね。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220402183256p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20220402173906p:plain

 

場合の数に絡んだ無限級数の計算問題です。

 

hnは、「n個のボールと2つの仕切りを横一列に並べる場合の数」と等しいです。仕切りの左側のボールの個数をa, 真ん中の個数をb、右側の個数をcとすればいいわけです。

 

そうなってしまえば、無限級数は部分分数分解の形となり、容易に計算できます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220402183331p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20220402173925p:plain

 

立体の体積を計算する問題です。

 

Pを固定してあげると、Hは半径1の円板を底面とする円錐になります。その円錐の断面を調べてPを動かしてスライドしてあげればよいでしょう。

 

Htの形状とStが求まれば、あとはtで積分してあげれば体積Vが求まります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220402183401p:plain

 

第4問

f:id:stchopin:20220402173944p:plain

 

関数方程式の問題です。

 

(1) 曲線Y=f(X) 上に、P(x, f(x) ), Q(y, f(y) ), R( (x+y)/2, f( (x+y)/2 ) )をとり、線分PQの中点Sをとると、問題文の方程式が成り立っていればRとSは一致します。Y=f(X)上にある2点の中点が常にY=f(X)上にあるということは、Y=f(X)は直線だということになります。

 

f(0)=0という条件があるので、f(x)=ax (a:任意の実数)と書けることが分かります。

 

(2) (1)ができていれば、与式の積分を計算して、平方完成を使って最小化すればOKです。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220402183432p:plain

 

第5問

f:id:stchopin:20220402174005p:plain

 

数列の極限の問題です。

 

(1) ルールに従ってPoPnを出来るだけ長くしようとすると、x軸正方向、y軸正方向にジグザグに線を伸ばしていけばよいと分かります。なので、nの偶奇による場合分けが生じます。(2)を見越してn=2m+1の場合とn=2mの場合とで計算するとよいです。

 

(2) このままでは∞-∞の不定形になってしまいますので、分子を有理化することで不定形を解消して極限計算します。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220402183503p:plain

 

第6問

f:id:stchopin:20220402174029p:plain

 

積分方程式の問題です。

 

(1)絶対値付きの積分(I(k)とします)を実際に計算して、大小比較します。k≧1の場合と0≦k<1の場合で絶対値の外れ方が変わるので場合分けが生じます。

 

(2) 7I(k)/16=kとすれば(1)の式と符合します。k≧1の場合でこの方程式を解いてkを求めましょう。

 

(3) 0≦k<1の場合でも同様に7I(k)/16=kを解くのですが、この場合のI(k)はいささか複雑な形をしていて解くのが嫌です。

と思ったとき、なんで(1)の不等式をわざわざ証明させたかを考えるとよいでしょう。

(1)の不等式を使うと、0≦k<1の場合は7I(k)/16=kになりえないことを示すことができます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220402183554p:plain

f:id:stchopin:20220402183620p:plain