このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
28回目の今回は1991年になります。
第1問
放物線の共通接線に関する問題です。
(1) C1, C2が対称的な形をしているので、x=pでのC1の接線と、x=rでのC2の接線が一致してlになる、という攻め方で条件を調べるとよいでしょう。
(2)極限計算は、特に不定形になる厄介な部分もないので、単純にbをaに置き換えるだけで片が付きます。aを消去すれば、X,Yの関係式が求まります。
(3) Xの動く範囲だけ確認さえすれば、(2)の結果から図示は瞬殺です。
<筆者の解答>
第2問
数列の漸化式に関する問題です。
(1)ともに対数をとって処理するタイプの漸化式ですね。bnについては、単純な等比数列とはならず余計なnの式が残ってしまうので、logbn - 1次式が等比数列になるように1次式を決めてあげるとよいでしょう。
(2) (1)の結果から、anbnは等比数列の形になります。
<筆者の解答>
第3問
楕円に関する面積計算の問題です。
(1) 交点のx座標がbcosγなら、C2の式からy座標はasinγとすぐに求まります。あとは、これをC1の式に代入してsinγ, cosγを求めましょう。
(2) 図形の対称性から、実質求める面積の1/8の部分だけ計算すればOKです。積分する関数がC2になるように面積計算を工夫すると、(1)との兼ね合いで見通しが良くなります。
問題文に「γの整式」と書かれているので、sinγやcosγを含まない式に最終的にはならないといけません。
<筆者の解答>
第4問
1次変換の計算問題です。
(1)これは、いわゆる「単射性」という性質を証明する問題です。「単射性」とは「元の点と、行先の点が1対1対応になる」という意味です。
fが単射性を持つ必要十分条件は「1次変換fが逆変換を持つ、つまりPが逆行列を持つこと」なので、問題文の条件からPが逆行列を持つことを証明します。
Pの対角成分の和(トレースと呼びます)をt, Pの行列式をΔとして、ケーリーハミルトンの定理を使うとよいでしょう。
(2) f(A)=A, f(B)=B, f(C)=Cの3つの関係式の中で、成立しうる式の数は、「0個、1個、3個」のいずれかだけです( (1)の結果と問題文の条件から、2個はありえません)。なので、3個や1個になる可能性がないことを証明していきます。
前者については「P=Eとなるから矛盾」と瞬殺できるのですが、後者は結構面倒です。
計算する逆行列が単純になるように、f(A)=の式とf(B)=の式を連立してPの候補を絞って、それがf(C)=の式を満たすかをチェックする方針が良いでしょう。最終的な矛盾を示すカギは、「(1)で考えたtが0にならない」という事実です。
(3) (2)までの検討から、f(A), f(B), f(C)の候補は2パターンしかないので、それぞれについてCとPを決めていきます。最後にP^3=Eという十分性の確認をする必要がありますが、それは(1)で考えたtとΔの関係式をクリアできているかのチェックで十分です。
<筆者の解答>
第5問
積分の極限の問題です。
(1)mの定義からmπ≦na<(m+1)πとなるので、これを利用して積分区間の長さで積分を不等式評価すればいいでしょう。|sinx|が周期πの周期関数なことにも注目です。
(2) 変数変換をすると(1)の積分が登場するので、(1)の結果を使ってはさみうちに持ち込めばよいでしょう。
<筆者の解答>