リーマン予想シリーズのパート3です。
ここでは、少し寄り道して分数の足し算についての話をしましょう。
通常、正の数を無限に足し続けていくと無限に大きくなっていきます。ところが、無限に足し続けてもある一定の値にサチってしまう場合があります。
無限の足し算のことを「無限級数」といいますが、この無限級数がある値にサチるとき、「収束する」といいます。
収束する無限級数の例としては、例えば下のようなものがあります。
この式は、下のような図をイメージすると分かりやすいと思います。
1×2の長方形を用意し、最初に1×1の正方形を敷き詰め、そこから次々とその半分の面積の長方形や正方形を敷き詰めていきます。次々と小さな正方形で面積2の長方形が埋まっていきますが、最終的に埋まりきる、ましてはみ出すことはありませんね。
よって、この足し算は無限に大きくなれず、2にサチって行くことが分かります。
このように、足し算されるものが等比数列になっている場合、一般に無限級数は以下の値に収束します。
上の例はr=1/2の場合だったわけです。
ここで、勘のいい方は、こう思われたかもしれません。
「足されるものがどんどん小さくなって0になっていくなら、無限級数は収束するんじゃ?」
これ、確かに
「無限級数が収束するとき、足されるものはどんどん小さくなって0になっていく」は数学的に正しいです。
足されるものが0以外の値になっていくとき、無限級数は無限大に飛んでしまうのは明らかですよね。だから、無限級数が収束するからには、足されるものが0に行ってくれないと困るわけです。
しかし、これの逆、
「足されるものがどんどん小さくなって0になっていくなら、無限級数は収束する」
は果たして正しいのでしょうか、
ここで、ようやくタイトルの足し算に登場願いましょう。これは「調和級数」と呼ばれるものです。
足される数字は、分母がどんどん増えていくので0に近づいていきます。一見収束しそうに見えるこの無限級数は果たして収束するのでしょうか?
ここで、ちょっとトリッキーなことをします。
上の足し算を、分母が2進数になるものを最後尾にして色分けします。色分けされた数字が2個、4個、8個・・と並ぶわけです。ここで、同じ色の数たちは、最後尾の数字よりも必ず大きくなっています。よって、色分けした数字をすべて最後尾の数字にそろえれば、それは必ず元の数より小さくなります。すると、色分けされた数を全部足すと1/2になりますね。ということで、調和級数は、「1/2を無限回足したもの」より大きくなります。「1/2を無限回足したもの」は当然無限大になるので、調和級数は無限大よりも大きい、すなわちそれ自身が無限大、という話になります。
以上から、調和級数、
は、足していく数が0に近づくのに、無限大に大きくなります。不思議ですよね。
この無限級数をexcelに書かせると下のようなグラフになります。
1/10000まで足しても10に届かないので、大きくなっていくスピードは非常に遅いです。ですが、このグラフはいずれは右上にすっ飛んでいきます。
足される数は0になっていく(死に体になっていく)のに、足し算は止まることがないので、私個人は、調和級数のように、「足していく数が0に近づくのに、無限大に大きくなる無限級数」を某ロボアニメの登場人物になぞらえて「オルガ級数」と呼んでおります(笑)。
止まるんじゃねぇぞ・・・
このような調和級数の性質を使うと、常識では考えられないような事例がいくつか発生することになるのですが、長くなってしまうので、それはまた別の機会に紹介することにしましょう。。
ということで、今回はここまで。
ではでは。