ちょぴん先生の数学部屋

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2020年度 慶応大医学部 解いてみました。

 

引き続き、第3弾、慶応医学部をやってみましょう。

 

(昨日が試験本番だったため、まだ解答速報が出ておらず、答え合わせができておりませんこと、ご了承くださいm(_ _)m)

 

 

<概略> (カッコ内は筆者が解くのにかかった時間)

1.(1)(2)(3)で独立した小問集合となっています。1問1問が重いです。

 (1)2平面の交線となす角。(13分)

 (2)曲線の囲む面積、回転体の体積。 (16分)

    (3)複素数平面上の図形。(27分)

2. 2枚のカードを2回引く時の番号に関する確率。 (62分)

3. 三角関数を用いた関数の和・極限。 (29分)

4. 放物線上の点との距離、囲む面積、長さ。 (46分)

合計193分 (参考:試験時間100分)

<体感難易度>

易レベル:なし、標準レベル: 1、やや難レベル:3、難レベル:2,4

あまりのボリュームに解いてて吐きそうになりました笑。

発想はあまりいらないのですが、その分分量が半端なかったです。試験時間100分となってますが、とても時間内に解き切るのは無理で実際倍近くかかってしまいました。また、計算ミスを誘発する問題が多い印象です。

一目見て地雷臭を感じたら即座に後回し、解ける問題から確実に潰すしかなさそうです。

<個別の感想>

第1問(1)

 

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与えられた3点を通る平面αとxy平面について、交線となす角を求める問題です。

これはαの式を直接出してしまうのが第1歩でしょう(答案ではベクトルなど無駄なことをしてしまってます)。そうすればz=0で交線が求まり、お互いの法線ベクトルを出してしまえば、「平面のなす角 = 法線ベクトルのなす角」とできます。

この小問は完答しないとマズいでしょう。

 

第1問(2)

 

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曲線とx軸の囲む面積、および軸回転してできる立体の体積という、典型問題です。

logの入った積分計算に一工夫必要ですが、医学部受験生であれば、余裕だったかと。これも完答したい1問です。

 

第1問(3)

 

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複素数平面でなんやかんやする問題です。

方針として、複素数のまま処理するのか、xy平面に落として処理するのかに分かれると思います。答案では、wの軌跡を出すまでの前半を複素数のまま、後半をxy平面として処理しました。

(後半ももしかしたら複素数のままでできるのかもしれないですが、私には方法が思いつきませんでしたので、慣れ親しんだxy平面で処理しました。)

 

まず、直線の式を複素数の式に直すには、x,yをzで表して代入すればいいでしょう。そうすれば自然とαが求まります。wの軌跡は、出てきたzの式に代入して計算するだけです。このとき、円の式になるように意識しながら式変形できるとよいです。

 

後半は、垂直二等分線、点と直線の距離、直線のなす角とxy平面に落とせばお馴染みの問題となります。息は長いですが、解き切りたいところです。

 

<筆者の答案>

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第2問

 

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確率の問題で、このセットの地雷枠その1です。

小問の1つ1つの難易度はあまり高くないのですが、(1)-(5)の設定がすべて独立しているため、途中で計算するべき確率の種類が半端ないことになってます。しかも、最終的に通分したうえで分子を因数分解をしなければいけないので、計算ミスの恐怖との戦いにもなります。

計算ミスを確かめる方法として、「n=2,3の時は、この確率は1、0になるはず」などと確認するのが重要かと。因数分解する際の助けにもなります。

 

(1), (2)は「少なくとも」あるので、余事象の確率を計算 というお馴染みのパターンです。

(3)は上記に加えて「一方だけ」が加わるので、「両方」の確率をさらに引き算する必要があります。(筆者は、この「両方」の確率がうまく出せず暫く悩みました)

(4), (5)は 大きい番号がK, 小さい番号がLなどとして一旦文字で置いて最後にΣ計算という形になります。(5)は2変数でΣをやる必要があるので、慣れてない人には厳しいでしょう。

 

<筆者の答案>

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第3問

 

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三角関数を用いた分数関数の和に関する問題です。

(1)が強烈なヒントになっているので、(2)のSnを出す場面ではなんとか(1)が使えないかを考えてみましょう。Σ表記で分かりにくければ、愚直に書き下してみると、何か見えてくるかもしれません。Tnについても同じ方法で計算します。

 

(2)の極限は、当然Sn, Tnを使って「はさみうち」です。ここで求まる極限は「バーゼル問題=1+1/4+1/9+1/16+・・・は何になるか?」という有名な問題で、後日このブログで取り上げようと考えています。(答案の最終回答を是非ご覧ください)

バーゼル問題について書きました)

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/22/182338 

 

この大問3は、バーゼル問題の解き方の1つだったわけです。

 

<筆者の答案>

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第4問

 

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放物線の面積、原点との距離、長さを計算する問題です。地雷枠その2です。

この問題の難しさは、b,c,Aととにかく文字が多く何を計算しているのか途中で混乱してくること必至な点です。

(1)は基本問題です。

(2)は素直に三平方の定理を使えば、ルートの中がxの4次式(なおかつ偶数乗しか登場しない)になるので、平方完成すればよいでしょう。すると(x^2 + B)^2の形が出るので、Bの正負によって挙動が分かれます。

(B>0ならば、単調増加。B<0ならば途中まで下がって上がる)

 

(3)はcの3次関数に帰着するので、微分して増減描いて終了です。

(4)の曲線の長さを出す式は覚えておいて損はありません。

 この積分は直接計算できないので、ヒントにある不等式を2通りに使って「はさみうち」です。このヒントになっている不等式は、いわゆる「コーシーシュワルツの不等式」と呼ばれるものです。

 

<筆者の答案>

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 [2/21追記] 第4問の(か)は計算ミスでした。正しくは1/√2 です。