ちょぴん先生の数学部屋

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平成の九大理系数学 -2008年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の2008年の問題を取り上げます。

第1問

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指数関数を使った分数関数のグラフ、逆関数、極限を考える問題です。

 

(1)は教科書レベルの問題です。f'(x)とf''(x)を計算しましょう。

 

(2) y=f(x)をx=の形に変形してあげましょう。

 

(3) (2)の結果を使って計算していきます。ネイピア数eの定義式を最後に使うことになります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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確率の問題です。

 

(1)得点が1になる時は、1回目にk以下を引いて2回目に1を引く場合です。また、得点が10になるときは、1回目に10を引くか、k以下⇒10 と引く場合です。

 

(2)考え方は(1)と同じです。nがk以下になるか、kよりも大きいかで場合分けして考えましょう。

 

(3) (2)を使ってΣ計算を実行するのみです。

 

<筆者の解答>

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第3問

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三角形の傍接円を考える問題です。傍心は中々珍しい題材ですね。

 

(1)面積の比から、AQ: QBが簡単に分かります。

 

(2)も、面積の比からOQ: QPが分かるので、(1)の結果と合わせて求めることができます。

 

(3)でいよいよ傍接円の登場です。

傍心とは、「三角形の五心(重心、外心、内心、垂心、傍心)」のうちの1つで、最もマイナー(?)なものだとおもいます。三角形の1つの内角の2等分線と、三角形の残り2つの外角の2等分線の交点になります。定義上、1つの三角形につき、傍心は3つ存在することになります。この傍心を中心として、三角形の3辺に接する円のことを傍接円と呼びます。この問題の場合、Pがまさに傍心の1つとなっております。

 

この円の半径をrとおいてよく見てみると、△OAP, △OBP, △ABPの面積の値が、rで全て表現できてしまうことが分かります。

 

これにより、(2)のa,b,cの比が分かってしまうので、Pの表現が求まってしまうわけです。

 

<筆者の解答>

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第4問

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対数関数とルート関数で囲まれた面積を考える問題です。

 

(1)Pのx座標をpとすると、f(p)=g(p)とf'(p)=g'(p)が同時に成り立ちます。

 

(2)h(x) = f(x)- g(x) =0 の解が1個しかないことを証明することになります。

 

(3)定石通りの面積計算です。

 

<筆者の解答>

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第5問

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円の外側に何個円を外接できるかを考える問題です。少々意地悪な問題だと思いました。

 

(1)Qを原点中心の半径1の円、Rが中心がx軸上にある円としても一般性を失わないので、これをベースに図形的に考えるとよいでしょう。

 

(2)sinπ/3とsinθの大小比較をすることになります。

 

(3)は、Rが最大n個並べられるとすると、nθ≦2π<(n+1)θすなわち、2π/θ-1 <n≦2π/θを満たします。ここで、(2)の結果を放り込むと、3<n<6となります。

このままでは、nが4なのか5なのかを確定できません。

 

そうです。(2)を使えば瞬殺と思いきや、(2)の評価が実はガバガバで評価がうまくできないという、壮絶な罠だったわけです! 謀ったな九大め・・・これが意地悪な問題と評した理由です。

 

というわけで、θをもっと厳しく評価しないといけないことが分かりましたので、次点の候補として2π/5とθの大小関係を比べてみましょう。

 

そのためには、cos2π/5ないしはsin2π/5の値を調べる必要があります。これにはテンプレの調べ方があって、α=π/5とおいて、cos2α+cos3α=0 になるという性質を使って調べる方法です。

 

結果として、2π/5<θ<π/2が示せましたので、3<n<5がいえて、無事n=4と確定しました。

 

<筆者の解答>

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