ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応理工数学 2009年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2009年の問題です。

第1問

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小問集合です。

 

(1)図を描いてみると、結局sinπ/12を計算する問題です。半角の公式を使いましょう。

 

(2)2次関数の面積に関する問題で、2次関数と直線の囲む面積は基本的な積分計算の問題です。三角形の面積は、Pでの接線がlと平行な時最大となります。

 

(3)回転体の体積についての問題で、テンプレ通りに計算するだけですが、V2ではlogの2乗の積分が要求されます。部分積分を使いましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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確率の問題です。

 

pnについては、n=2,3では「n回とも全て4以下」か「一回だけ5以上が出て残りは全て4以下」の2パターンがあります。

漸化式は、「n+1回目が4以下」「n+1回目が5以上」の2パターンを考えれば作ることができます。この後は、基本的な3項間漸化式を解く問題ですので、誘導に従います。

 

qnについても、pnと同じようにn-1回目, n-2回目の挙動を考えるとpnの式で書くことができます。

qnは、n回目に5以上が出る確率なので、「n回目に1回5以上が出る確率」とも解釈できます。よって、回数の期待値は1×qnの和で書けます。無限等比級数の計算を実行します。

 

<筆者の解答>

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第3問

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円と双曲線が接する条件を考える問題です。

 

両者が接する条件は、2つの式を連立したxの方程式が重解を持つことです。とはいえ、直接4次方程式の形にして解くのは大変なので、f(x)=r^2としたときにy=f(x)の形状を考えています。

 

f'(x)を計算すると、aの値によってf'(x)=0の解の個数が変わるので場合分けをします。

それぞれについて、f(x)の極値=r^2を考えればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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3次方程式の整数解の個数に関する問題です。

 

(ナ)(ニ)について

方程式をf(x)=aとすると、f(x)は単調増加のグラフなので、f(1), f(2)の値を調べれば、

Rがf(1)以上であれば、少なくとも整数解を持つaがa=f(1)と決まり、Rがf(2)未満であれば、整数解を持つaはa=f(1)の一個だけになります。また、Rがf(2)以上であれば、整数解を持つaはf(1), f(2)の少なくとも2個以上あることになります。

 

(ヌ)(ネ)について

一見複雑な変数変換ですが、代入してみると驚くほどスッキリした式になります。結局u^3の2次方程式を解くことに帰着します。

 

(ノ)(ハ)について

N(R)を不等式で評価します。f(x)のグラフを描いてみると、N(R)はx(R)以下の自然数の個数になることが分かります。(整数解1つ1つに対して1個のaが対応しているので)

 

これを使うと、N(R)をx(R)を使って式ではさむことができるので、(ネ)も使ってあげるとはさみうちの定理が使えます。

 

<筆者の解答>

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第5問

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円と直線に関する1次変換の問題です。

 

(1) C上の点を(cosθ, sinθ)としてこれを行列を使って移動させます。

 

(2)2つの式を連立するだけの基本問題です。

 

(3)C上の点を(cosθ, sinθ), l上の点を(t, 2t)として移動させることで、条件を式にしましょう。θ絡みの式は、恒等式と考えて処理をするのですが、θに特別な値(例えば、0とかπ/2)を代入すると見通しが良くなります。

 

この後も煩雑ではありますが、文字を三角関数で置くなどしていくと求めることができます。

 

<筆者の解答>

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