私立最難関の一角、慶應義塾大学の理工学部の問題を取り上げます。今回は2008年の問題です。余談ですが、私自身が本番で解いた問題になります。
第1問
小問集合です。
(1)曲線で囲まれた面積を求める問題です。奇しくも、ライバルの早稲田大の同じ年の第1問が似たようなシチュエーションの問題でしたが、こちらの方が易しいです。
y=の式に直して、定石通りの積分を実行すればOKです。Vはaの3次関数になるので、微分して増減を調べれば最大値が分かります。
(2)同じく曲線の面積を求める問題ですが、こちらはやや複雑です。ベクトルの知識を使ってRの座標を求めることがスタートラインです。そうすれば面積は、三角関数の入った積分の計算になるわけですが、計算慣れしていないと厳しいと思います。今回の場合はt=sinxと置換するとうまくいきます。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題です。
(1)n=2の時は、6の約数が1回それ以外が1回出る確率を計算すればよく、漸化式については、n-1回目までに出ている6の約数の回数が偶数回の時と奇数回の時とで場合分けして考えるとよいでしょう。
(2) q(k)とrn(k)の式は簡単に求まります。このような確率(というか数列)の最大最小は、比を取って考えるのが基本になります。例えば、
q(k+1)/q(k) >1 →q(k+1)>q(k)
q(k+1)/q(k) =1 →q(k+1)=q(k)
q(k+1)/q(k) <1 →q(k+1)<q(k)
といった感じです。(サ)(シ)については、上記を考えると、「rn(k+1)/rn(k) =1となるkが整数で求まる」が、最大値を取るkが2つ存在する条件になります。
<筆者の解答>
第3問
絶対値付き2次関数と直線が交点を持つ条件を考える問題です。
(1)これは、放物線の式と直線の式を連立して、それが実数解を持つ条件を求めればよいので簡単です。
(2)直線の傾きaの値によって場合分けが発生します。対称性からa≧0だけ考えれば十分なのですが、C: y=|x^2 -2| のちょうど折り返される点での接線の傾きが2√2となり、ここがaの境目となります。
bの下限は、lが折り返し点を通るときか、lがCと接するときかの2択なのですが、aと2√2の大小によって、どっちがbを最小にするかが変わってくるわけです。
(3) (2)の結果を使ってg(x)のグラフを描きましょう。このグラフから、|a|と√2の大小関係によってg*(a)の形が変わることが分かります。
<筆者の解答>
第4問
曲線の概形を考察する問題です。
(1) 垂直2等分線の式は、・中点を通る・2点間の傾きと垂直という2つの条件から求めることができ、対称移動に関しても同様です。
(2) (1)でPの座標をtの式で書いているので、それぞれtで微分して増減を調べます。
すると、t=1の所で尖った連続なグラフがCになります。y=axとの交点の数は、グラフを使って図形的に考えます。
<筆者の解答>
第5問
p乗のΣの公式についての問題です。
(1)1/√nをΣの中に突っ込めば、区分求積法の形にできます。
(2) 2乗のΣの公式まで知っていれば、3乗のΣの公式は導出できます。高校の教科書にも書いてあるはずですが、(k+1)^4 - k^4に対してΣを取ってみましょう。
(3)分母のnをp個Σの中に押し込めると区分求積法の形が出てきますので、その部分は有限の値に収束します。よって、残った部分にnが余らない条件を考えればよいことになります。すると、r=p+1と求まります。
これをつかうと、Sp(n)はnのp+1次式になっていることが分かり、{Sq(n)}^2は2q+2次式になります。これによって、次数に注目した方程式が立ちます。
(4) (p,q)=(3,1)ならばS3=S1^2になることは(2)で証明済みなので、2乗の形になるのが(p,q)=(3,1)の場合しかないことを証明します。
(3)の結果を使うと、pとqに関する方程式が2つ立つので、連立して解きましょう。
<筆者の解答>