このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。
14回目の今回は1994年です。
第1問
整数を階乗の線形和の形にする問題です。
(1) 実質Σk×k!を計算する問題ですが、このままではどうにもなりません。何とか番号違いの差の形に持ち込めないか工夫をしてみましょう。
(2)証明は2段階に分かれます。
「自然数Nが問題文の形にできるとしたら、その形は1通りしかない」→「自然数Nは必ず問題文の形にできる」の2段階です。
前者については、N=Σak×k!とN=Σbk×k!と2通りに書いたときに実はak=bkになることを示します。2つの式の両辺の差を取ってしまえば、(ak-bk)×正の数=0となります。
後者については、帰納法でよいでしょう。
(3) n!/5以下で最も近い階乗は(n-1)!なので、使う階乗は最高でも(n-1)!です。
n!/5-(n-1)!=(n/5-1)(n-1)!となるので、nを5で割った余りで場合分けして検討していきます。0≦ak≦kに注意して式変形を続けていきましょう。
<筆者の解答>
第2問
円を正方形の内側で転がす問題です。
(1)円が正方形の一辺を転がる時の回転角φとlの関係をまずは調べてあげます。Pが同じ位置に戻るということは、円は累計して2πの整数倍だけ回転することになるので、4φ=2π×整数、が求める条件になります。
(2)Pの位置をパラメータ表示して、1個目の辺を転がった時の軌跡と、2個目の辺を転がった時の軌跡を考えてあげます。最終的には、積分の中身のグラフから面積に関する考察をすることになります。
<筆者の解答>
第3問
工事の工数に関する確率の問題です。
(1) 1週間以内(日曜日除く)なので、6日以内で仕事が終わるような工程を列挙してあげればよいでしょう。
(2) 「第1+第2+検査」の3日フルセットをa回、「第2+検査」の2日セットをb回行う状況(実現確率q(a,b) )を考えると、実働3a+2b日かかります。この日数が6n日以内なら「n週間以内」の条件を満たします。
なので、この条件を満たすa,bの組み合わせ全てに対して、実現確率q(a,b)を足し上げたものがP(n)となります。
(3) 1-P(n)はnについて単調減少になるので、nに具体的な値を入れて調べていくのが良いでしょう。
<筆者の解答>