ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東大理系後期数学 -1993年-

このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

15回目の今回は1993年です。

 

第1問

 

正n角形に関する一次変換の問題です。

 

(1) Pの頂点は、Ak (cos2πk/n, sin2πk/n)の形ですべて書くことができます。

今回求める1次変換fのうち、A0(1,0)をAkに移すものを考えると、その時点でfの成分の内2つは求まってしまいます。

 

続いてA0以外のAkについても、fをかますと必ず原点からの距離が1になる点に必ず移動するので、それを処理して残りの成分を求めていきます。これでfの必要条件が求まりました。

 

あとは実際にそのfが、Akを別の頂点に必ず1対1で移動させられることを確かめて終了です。

 

結果は、回転行列と対称反転する行列、の2種類だけになります。

 

(2) 結局Σcos2πk/nとΣsin2πk/nの2つの値が求まればよいわけです。αk=cos2πk/n,+isin2πk/nと複素数の形にすると見通しよく求まります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

点と直線の距離に関する問題です。

 

(1)lの式をy=ax+bとして、aを固定したときのf(l)を平方完成して、f(l)が最小になるようにbを決めてしまえばよいでしょう。以上はlがy軸平行でない場合ですが、y軸平行な場合も全く同様です。

 

(2) (1)の結果から、△ABC全体を、重心がOとなるように平行移動し、かつ1つの辺がx軸に平行になるように回転してあげると考えやすくなります。(そうしても一般性を失わない)

 

この状態でlの傾きをtanθ (0≦θ<πで範囲は十分です)としたときのf(l)を計算し、θを動かして最小値を探っていきます。

 

すると、θの項が生き残っていると、f(l)が最小になる瞬間が1回しかない、つまりf(l)を最小にするlが1本しかないことになり不適になります。

よって、θの項の係数が全部0になることが必要条件となります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

放物面の容器に球を入れたときにあふれる水の体積を考える問題です。

 

(1)rの大きさによって、容器への球の入り方が変わるので場合分けが必要です。1つは途中引っかからずに底まで球が落ちる場合、次に途中で引っかかるが容器の縁には当たらない場合、最後に容器の縁に乗ってしまう場合、の合計3つの場合分けです。

 

(2) こちらは、容器に球がすっぽり入るか、はみ出してしまうかの場合分けが発生し、後者の場合は(1)の場合分けを引きずって体積はかなり複雑な式になります。

(※あふれる水の体積は、球の内容器の中に入った部分の体積です。)

 

面倒ではありますが、微分して符号をチェックする以外に方法はありません。

 

<筆者の解答>