ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

2023年度 一橋数学 解いてみました。

2023年も大学入試のシーズンがやってきました。 今回は、一橋大学数学に挑戦します。

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1: 2項係数の方程式 (20分)

2: 共通接線(15分)

3: 四面体の体積 (15分)

4: 2変数漸化式 (55分)

5:  確率(20分)

計125分

 

<体感難易度>

3<1≦2<5<4

 

一橋にしては、比較的取り組みやすい問題の揃ったセットで易化した印象です。とはいえ、第4問は大規模な整数問題であり進めていくのは大変です。

 

<個別解説>

第1問

2項係数の方程式の問題です。

 

Cの形ではどうにもならないので、とりあえず階乗の形に直して約分したり分母を払ったりを行うと、n,kの2次式が求まります。

 

n=の形にしてもよいですが、今回はk=の形に解いた方がシンプルで見通しが良いです。

kは整数なので、最低でもルートの中身が平方数でないといけないわけです。今回はnの範囲が限定的なのでnを具体的に列挙でき、対応するkもすぐに調べられます。

あとは、1≦k≦n-1に適合してるかを吟味すれば終了です。

 

<筆者の回答>

 

第2問

共通接線に関する問題です。

 

3次関数と直線が接する条件を考えるのは難しいので、先に3次関数のC1で接線を作ってから、それが2次関数であるC2に接する(=連立したとき重解を持つ)条件を調べます。

 

C1のx=tにおける接線について上記を考えると、tの方程式が出来上がります。それが4つの実数解を持てばよいので、微分して増減を調べましょう。

 

<筆者の回答>

 

第3問

四面体の体積に関する問題です。

 

△OABがxy平面上にあることに注意すると、Pのz座標cを使って、四面体の体積は(△OABの面積)×|c|÷3 で計算できます。この式に未知数はcしか入っていないので、実質|c|の最大値が分かればよくなります。

 

翻ってPの不等式を変形すると、Pはとある球面の表面と内部を動く点であることが分かるので、Pのz座標cの取りうる値を容易に調べることができます。

 

[訂正]球の半径の読み取りでミスがあったので、修正しました。

 

<筆者の回答>

 

第4問

2変数漸化式に関する問題で、本セット最難問と言えます。

 

(1)まずは与えられた図をよく観察しましょう。

縦の位置を固定したまま右に移動していくと、差が+1, +2, +3, ・・・といった感じに階差数列になっていることが読み取れます。そして、上の列に行くほど、スタートの階差が1ずつ増えていることが分かります。

また、x=1の列を下から上に眺めると、1→3→6→10→15・・・となっていて、これは「三角数=1からの連番の和」になっていることに気が付きます。

 

以上の観察結果から、f(m,n)の一般項を直接求めることが可能です。この結果を使って、与式の両辺をそれぞれ計算して一致することを確かめればよいでしょう。

 

(2) (1)の結果を使うことで左辺が4つの項だったところを実質2つの項にすることができます。そこに一般項を突っ込んで計算を進めていきます。

 

整数問題の肝は「いかに範囲を絞り込むか?」です。今回のような2次式が中心の式では、2乗の形をできる限り作って、自然数自然数=2023のような形にして絞り込んでいきたいです。

 

今回の場合はmについて平方完成するとうまいこと自然数の和=数字にできるので、そこから範囲を絞ることができます。

答案では、2乗の形にm,nが混在してる格好で面倒だったので、2乗の中身を1文字にして、mとnをその1文字のみの式で表現する方法を取りました。

上記はあくまで一般解なので、m≧1かつn≧1となるように文字の値域を絞り込む必要があります。

[追記]最後の方で計算ミスをしていたので修正しました。

 

<筆者の回答>

 

第5問

確率の問題です。

 

今回のゲームはn回やると強制終了してしまうため、「一度も1が出ないままドロー」の可能性があります。なので、PA+PB+PC=1にはならなくて、きちんと3つとも調べる必要があります。

 

手番Aが3m+1番目、Bが3m+2番目、Cが3m番目になっていることに注意すると確率が計算できます。mの最大値にガウス記号が入ってくるので、最終的にはnを3で割った余りによる場合分けが発生します。

 

結果は、予想通りPA>PB>PCとなっていますが、意外と差が少ないですね。ちなみに3者を合計すると1-(125/216)^nとなっていて、決着がつかない(一度も1が出ない)の余事象になってることと整合が取れています。

 

[訂正] 「各人がn回まで」という設定を、誤って「3人合計でn枚まで」と勘違いして解いていましたので、修正します。結果としてnの場合分けが消滅し、より簡単な問題となります。

 

<筆者の回答>

 

※↓ 初稿(「3人の合計がn回まで」と勘違いしてました・・・)