ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -2014年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

6回目の今回は2014年になります。

 

第1問

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3次関数の共通接線に関する問題です。

 

(1)C1のx=sにおける接線の式と、C2のx=tにおける接線の式が一致する、という条件を処理していきます。

 

(2)sとtの差を検討すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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四面体の体積を考察する問題です。

 

△OABについては、辺の長さと内積が分かっているので素性が全てわかり、それによって△ABCも素性が特定できます。

 

よって、未知なのはOCの長さ、つまりCの位置だけなので、△OABをxy平面上に置いたxyz座標を設定して考えると見通しがよくなります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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整数問題です。

 

桁数を求めたいので、〇×10^m <N< △×10^mとなるmを決めるのが目標になります。

 

与式をみると、まず2×5で10が作れ、3^10=9^5=(10-1)^5, 7×11×13=1001=10^3 +1 と、10の累乗の形をいくつか作ることができます。

 

なので、3^10と1001^10がどのくらいの数になるのかを評価していきます。

 

3^10は、まだ力ずくで計算できるレベルではありますが、2項定理を使うと59049とわかります。

 

問題は1001^10の方です。こちらは流石に力ずくでの計算は無理なので、2項定理を使って評価する必要があります。(正確な値は不要です)

 

2項定理を使うと、1001^10 = 10^30 + (10^28未満の数字10個の和)と分かるので、1001^10<1.1×10^30と評価できます。この部分で発想が必要ですね。

 

こうすることで、与式が目標の不等式の形に出来るので、桁数が求まります。

 

※7×11×13=1001 というのは覚えておいて損はない結果です。

 

<筆者の解答>

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第4問

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直方体を平面で切った断面積を求める問題です。

 

Aを原点にして各辺を座標軸にするようなxyz座標を設定しておかないとにっちもさっちもいかないので、迷わず設定しましょう。

 

そうすると、ABを通る平面αの式を文字でおけるので、それを使って直方体の各辺との交点がどうなるかを逐一考察していきます。

 

が、場合分けが煩雑ですし、断面積の式もうまく工夫して式変形しないと増減を調べるのが大変です。なるべく√の中だけで2次関数を作ってしまおうという思考で進めましょう。

 

あまりの煩雑さで、B5用紙4枚の超大作になってしまいました。試験本番では捨てた方がいいかもしれませんね。

 

<筆者の解答>

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第5問(a) ※数Ⅲ必須

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積分を使ったネイピア数eの評価の問題です。

 

(1)an+1を部分積分で計算することで、anの漸化式を作ることができます。それを使っていきましょう。

 

(2) (1)でa4=9e-24という結果が出てきて、ここから24/9=8/3が連想できます。と考えれば、a5を計算すれば30/11が作れそうだと思いつきます。

 

積分の形からan>0は明らかですので、これを利用していきましょう。

 

このようにしてnを増やしていくと、より精度高くeを評価できることになります。

 

<筆者の解答>

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第5問(b)

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確率の問題です。

 

(1)nの偶奇によって1~nに含まれる奇数の個数の割合が変化するので、場合分けして確率を計算しましょう。

 

(2) (1)の結果を使って2次不等式を解きます。解の公式を使ってもよいのですが、平方完成を使って、近い平方数を考えることで計算が楽になります。

 

<筆者の解答>

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