ヨビノリさんの企画、「数学夏祭り」に参加しております。
本日9/10に出題された、第9問はこちら、
線積分を計算する問題のようです。とりあえずやっていきましょう。
(筆者の解答時間は100分でした。。)
筆者の答案
非常に大変な計算量でした。。多少の計算ミスはやらかしている可能性が大なので、大目に見てください。。。最後の大小比較は電卓でパパっとやってしまいました。
さて、今回計算する、「線積分」というものは、大学で初めて習うものです。主に、電磁気学など物理の分野で頻出する計算になります。また、数学単体で見ても、「複素積分」などに登場します。
物理を習った人は、こんな量を習っているはずです。
「仕事」=「力」×「移動量」
仕事という言葉になじみがなければ、「物体を動かすのに必要なエネルギー」と言い換えても良いです。
「線積分」は、いわば、この「仕事」を一般化した計算になっています。
高校物理までで出てくる「仕事」は、あくまで力の向きと大きさが一定で、物体を動かす向きも力の向きと同じ(または逆向き)場合に限られていました。
しかし、実際は力は大きさも向きも変化しますし、物体の動かし方も直線とは限らないわけです。
そこで、工夫をしてあげます。物体をほんの僅かだけ動かしたときの仕事を計算して、それを足し上げれば(積分すれば)全体の仕事量になるわけです。
というわけで、線積分の定義は、以下のようになります。
問題文にある「ベクトル場」は、上記の説明における「力」に相当するものです。
要は、
と一般化できる、という話なわけです。
ここで、注意点として、スタートとゴールを固定していても、その間の経路によってEの値が変わってくるということです。
余談ですが、スタートとゴールさえ決めればEの値が変わらない力のことを、「保存力」と言います。具体的には、重力、電場、磁場などがこれにあたります。
今回の問題においては、各経路ごとに微小移動量drを求めてAとdrの内積を計算して積分する作業に終始します。
作業の内容は(1)~(4)すべてで共通で、
1. 経路上にある点の位置ベクトルを、デカルト座標表示する(x=rcosθ, y=rsinθ)
2. 1のベクトルの成分を微分する→drが求まる
3. Aの式に、1の式を代入して、drとの内積を計算する
4. 3の結果を積分する
となります。
(1)の極方程式r=2は円なので、行程2は素直にθで微分して行程4ではθで積分すればよいです。(1)の積分は(2)以降も使いまわします。(3)もほぼ同様です。
(2),(4)は気づかないと難しいですね。実はθをうまく消してあげると、極方程式が直線を表していることが分かります。あとは、x座標の範囲を調べてあげればよいので、行程2はxで微分して行程4ではxで積分すればよいです。
極方程式が直線だと気づかずにθで積分しようとすると積分の計算がうまくいきませんので、ここが地雷ポイントでした。。
やることの全体像は分かるのに、個々の計算が非常に大変、そんな問題でした。