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平成の医科歯科大数学 -2012年-

このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。

 

11回目の今回は2012年です。

第1問

 

行列で表現された数列の漸化式に関する問題です。

 

(1) cn+1を漸化式から計算すると、cnの漸化式ができます。

 

(2)指示通りlについての帰納法で証明します。つまり、l=1についてをまず証明し、l=jでの成立を仮定したときにl=j+1で成立するかを確認します。

 

(3) (2)の結果を使って、番号をn-lにまで下げることを目指して変形するとよいでしょう。

 

(4)左辺はaとcの式、右辺はbとcの式になっています。となると、(3)の結果を使って左辺からaを消去するのが得策となりそうです。右辺と番号が合うようにn=2m,l=1としたものを使うとよいでしょう。(1)の結果も織り込むと、綺麗にΣが計算できます。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

回転体の体積に関する問題です。

 

(1)F1は円柱から2つの円錐を除いたものになります。a=cosθ, b=sinθ (0<θ<π/2)とすると見通しが良くなるでしょう。

 

(2) F2を表す式を求めることを目標にします(その式でz=0とすればxy平面での断面が分かります)。

そのためには、平面x=sでのF2の断面の様子を調べるとよいでしょう。

 

(3) F3の平面x=tでの断面積を積分することで体積が求まります。出てくる結果は(1)の結果の定数倍なので、(1)の結果を流用することができます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

逆関数に関する極限計算の問題です。

 

(1) f'(x)が常に正となることが言えればOKです。

 

(2) g(x)がf(x)の逆関数ならx=f( g(x) )となります。(1)でf(x)が単調増加だと示しているので、与式は、f(X-1)<X^3<f(X+1) (X=x^(1/3) )と変形できます。

 

これであれば全部形がはっきりしているので各辺差を取れば証明できることになります。

 

(3)この手の積分の評価は、「積分区間をいじる」か「積分の中身をいじる」かで考えていくのですが、今回の場合はそれらをするまでもなく積分自体を計算できてしまいますので、その下で解いてしまうとよいです。具体的にはbを固定し、0<a<bでaを動かしたときの右辺ー中辺の増減を調べればよいです。左辺<中辺は流石に自明としてよいでしょう。

 

(4) g(x)の形が不明なので変換してしまいたいですね。y=g(x)⇔x=f(y)と変換することでうまくいきます。(3)の結果を生かしたいので部分分数分解をしておきたい所です。

 

そうすると、最終的に(2)と(3)の結果を使ってはさみうちに帰着させることができます。

 

<筆者の解答>