ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の医科歯科大数学 -2011年-

このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。

 

12回目の今回は2011年です。

第1問

 

確率の問題です。

 

(1)末尾が「裏→表→表→表」(n=3の場合だけ「表→表→表」)となるような出方を考えればよいです。n=7の場合は、裏の前に「表→表→表」が出ないように注意します。

 

(2) 1-Qnは「n-1回以内で終わる確率」になるので、Pnの和で表現できます。

 

(3) Qn- Qn-1 = -Pn-1となるので、あとはPn-1をQで表現することを考えればOKです。問題文は「Qn-4」となっていますが、「Qn-5」の方が正しいのではないかと思います。n-5回まで「表→表→表」を含まず続き(この確率がQn-5)、その後の4回で「裏→表→表→表」と出ればPn-1が実現することになるはずですので。

 

(4) 与式の右辺を見ると指数の分母が4になっているので、QnとQn-4の間(つまり4個飛び)の関係が見れればよさそうです。

 

(3)の結果を使ってQn - Qn-4を計算すると、-(Qn-5 +Qn-6 +Qn-7 +Qn-8)/16となりますが、(3)の結果からQnは単調減少することが分かるのでQn-5~Qn-8がすべてQn-4で抑えることができます。この事実を使うとQn<3/4Qn-4となって、お目当ての不等式に近いものができます。

 

あとは、この不等式を繰り返し使うことで、nを4で割った余りで場合分けしてQnを評価していきます。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

点の存在範囲に関する問題です。

 

(1) P(p,0)とおいて、条件をみたすQとRの座標を調べて、それらが正の実数として存在できるようにpの範囲を決めてあげます。

 

(2)Qの軌跡とRの軌跡は独立して求めることができるので、QRの通過領域は、少なくともこの2曲線とx軸で挟まれた領域の中にあることが分かります。

 

ここから直線QRの通過領域を調べて・・・とやると計算が非常にエグく手が付けられなくなります。よく見ると、QとRは「x座標が1:2」の関係を維持しながら動いていくので、線分QRは「2曲線とx軸で挟まれた領域」を隈なく動くことが視覚的に分かります。

 

面積計算は簡単な積分計算で事足ります。

 

(3) 四角形MPRQを図示すると台形となるので、面積をpの式で書けます。とはいえ、pのままだと微分しての増減把握が厳しそうなので、t=√(1-p^2/4)とルートの部分を〇〇別の文字で置き換えるとスッキリします。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

無限級数の極限を計算する問題です。

 

(1)与式の右辺に注目すると、x^nを積分したものになっています。なので、左辺を不等式評価してx^nの積分の形が出るように工夫していきます。

 

(2)方や積分、方やΣという異質なものの足し算を要求されています。異質なもののままでは足し算ができないので、どちらかに統一してあげる必要があります。

Tnを積分の形に書き換えるのは難しそうなので、SnをΣの形に書き換えられないかと考えるわけですが、Snの中身をよく見ると、「初項1, 公比-xの等比数列の和」の形になっています。これで、SnをΣの形に書き換えられそうです。

 

こうしてTn-2Snをけいさんすると、間が次々と相殺されるタイプのΣに帰着できます。

 

(3) 

(1),(2)の結果ではさみうちを使ってあげればよいでしょう。

 

<筆者の解答>