このシリーズでは、東大に引き続き、平成の京大理系数学の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
京大の数学の問題も、難易度は高いですが良問の宝庫であり、演習価値が非常に高いです。
(時々、どうしようもなく難易度が高く、筆者の力量でも解けない問題が出てくることがありますが、どうかご容赦くださいm(_ _)m )
8回目の今回は、2012年の問題です。
第1問
小問集合です。
(1)肩にnが入っているのが気持ち悪いので、対数をとって考えると見通しが良いでしょう。a^nの極限が、aの値によって変化するので、場合分けします。
※対数を取らず、はさみうちで攻める別解も追記しました。この場合不等式を作るところで若干発想力が必要になります。
(2)積分にlogが入っていたら、とりあえず部分積分を考えてlogの形を解消しましょう。
<筆者の解答>
(1)の別解
第2問
正四面体の断面が正三角形の時、各辺が底面の各辺と平行なことを証明する問題です。
これはベクトルを使って処理する基本的な問題です。正三角形なので、PQ=QR=RPとなる条件を考えればよいです。
<筆者の解答>
第3問
x,yが2次式の関係式を満たすときに、x,yの3次式の最大値最小値を考える問題です。
この手の問題は、大学に入ると「ラグランジュの未定乗数法」という秘密兵器を教わることになるのですが、高校生はそれを普通は知らないので、高校数学の範囲で考えます。
文字が2文字ありますが、かつyをxのきれいな式で書くことができない(こういう関数を陰関数と言います)ので、片方を消去するという方法はうまくいきません。
かといって2文字を動かすのは難しいので、何とかして1文字に統一したいです。
その統一方法が2通りあるので、それぞれ紹介します。
一つの方法は、xとyのそれぞれをパラメータ表示する方法です。これは経験がないと厳しいのですが、対称式でなくともうまくいく万能タイプの方法です。
2次式の形から、x=acosθ+bsinθ、y=acosθ-bsinθ の形でかけて、aとbの値を2次式=6から求めます。
もう一つの方法は、今回登場する式がすべてxとyの対称式で書けていることに注目して、x+y, xyをパラメータ表示する方法です。具体的には、x+y = k , xy = k^2 -6と書けます。xとyが実数になることから、kの範囲が決まります。
いずれの方法でも、一文字に統一できれば、それの増減を考えればよいです。
ちなみに、x^2 +xy + y^2 = 6 は、軸が回転した楕円を表します。
<筆者の解答>
第4問
(1)これは、教科書にも載っている「√2が無理数であることを証明せよ」と全く同じ流れです。2^(1/3)が有理数だと仮定して矛盾を導きます。
(2)P(x)をx^3 - 2 で割った余りをax^2 +bx +cとします。すると、a,b,cは有理数となりますし、x=2^(1/3)を代入すると、
(有理数)×(無理数) + (有理数)×(無理数) +(有理数)= 0となります。
これが成立するにはa=b=c=0しかありえないことを示します。
これまた背理法で、a,b,cのうち0でないものがあったとすると矛盾が発生することを言いましょう。
<筆者の解答>
第5問
図形を題材にした命題の真偽の判定をする問題です。これは難問だと思います。
(p) 正n角形から三角形をくりぬいて残る図形たちの角度から、三角形の角度が60度になる条件を考えましょう。
(q)これは難問ですね。
ほとんどのケースで成り立ってしまうので、「正しい」と思いたくなってしまいます。とはいえ、その証明が途中で詰まってしまうはずです。ひょっとして「正しくない場合がある」のでは?
ということで、AC<ADかつBC<BDなのに∠C<∠Dとなってしまう例外を何とかして構築しようと試行錯誤してみてください。。。何とか構築できます。
<筆者の解答>
第6問
サイコロの目によって決まるYkの値に関する確率の問題です。
漸化式の形がよく分からないですね。ここから一般項などを考えていくのは現実的ではないです。
ここで、Yの値が、一回の操作でどうなるかを考えましょう。具体的には、
A. 1<Y<(1+√3)/2
B. (1+√3)/2<Y<1+√3
C. Y>1+√3
の3つの状態を考えて、それぞれがどう移りあうかを考えてみましょう。
n回後に各状態になる確率を用いて、漸化式をつくり、それを解く流れになります。
<筆者の解答>