ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -2010年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

9回目の今回は2010年になります。

※2011年は、東日本大震災の影響で後期入試が中止になっています。

 

第1問

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整数問題です。

 

条件から、a^2 + b^2 =c^2 ⇔(c-b)*(c+b) =a^2となるb,cが3通りあるようなaを求めていきます。言い換えれば、a^2を p(小さい奇数)×q(大きい奇数)の形にちょうど3パターンで書けるa^2を探します。

 

a^2を素因数分解して約数の個数を調べることで、こうなるaが「素数の3乗」の形しかあり得ないことが分かります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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ベクトルの証明問題です。

 

(1)背理法を使うとよいでしょう。aとbが平行だとすると、(i)の右辺の絶対値が√3になりますが、a・cは-1以上1以下にしかならないので、矛盾です。

 

(2) (i)をみると、aとbが対称な関係でcだけが仲間外れだと分かります。cとの内積の値はcとの成す角だけで決まるので、aとcの成す角、bとcの成す角が等しいと分かり、aとbの成す角はその2倍だと分かります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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移動する2つの正方形の重なりを考察する問題です。

 

(1)PとQとがどっちが速いかで場合分けし、PとQがぶつかりそうな場面をイメージしてみましょう。

 

(2) (1)の答えを逆にしたものが「共有点を持つ」範囲なので、t1,t2を具体的に調べてみましょう。(1)と同じく、PとQのどっちが速いかで場合分けが発生します。g(a)が求まったら愚直に積分するしかありません。

 

正直「g(a)を求めよ」だけでも十分で、積分計算は蛇足のような気がします。

 

<筆者の解答>

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第4問

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確率・期待値の問題です。

 

(1)X=kとなるような赤本の入れ方が何通りあるかを考えればよいでしょう。

 

この問題の場合は、各本を区別してもしなくても同じ答えが得られます。

 

(2)定義通りに期待値を計算するのみです。

 

<筆者の解答>

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第5問(a)

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2次方程式の解の配置に関する問題です。この年の第5問は、明らかにこちらの問題の方が易しいです。

 

2次方程式が実数解を持つ条件を調べ、その下でグラフを描いて2つの解が両方p以上q以下に収まる条件を求めます。

 

面積計算も典型問題です。

 

<筆者の解答>

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第5問(b) 

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放物線上に頂点を持つ直角二等辺三角形についての問題です。こちらは計算が面倒であり、本番では選ばない方がいい問題ですね。

 

(1)BCの傾きがm, AB=BC, ∠B=90°の条件を愚直に処理していくのですが、文字変換なども駆使していかないと、見通しが悪くなってしまいます。答案のようにt=m-1/mと変換するのが近道だと思います。その場合t=0か否かで場合分けが発生します。

 

それを乗り越えてもbの候補が2パターン出てきてしまい、吟味をしないといけないので面倒です。

 

(2) (1)が出来てしまえば標準的な問題です。本解答では分数関数の微分(数Ⅲ範囲)を使っていますが、別解として微分を回避した解法を載せています。

 

<筆者の解答>

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