ちょぴん先生の数学部屋

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2020年度 九州大理系 解いてみました。

第7弾は、九大です。

 

<概略> (カッコ内は筆者が解くのにかかった時間)

1.曲線の接線のx切片の存在条件(14分)

2. 4次式の余り (34分)

3. 四面体の外接球 (57分)

4. 4個のサイコロの目の積(20分)

5. 円柱の一部・回転体の体積(20分)

 

合計145分 (参考:試験時間150分)

<体感難易度>

易レベル:1 、標準レベル: 4,5 、やや難レベル:2 、難レベル:3

難易度は昨年度よりやや難化傾向だと思います。易しい問題から難問までバランスが取れている良いセットだと思います。

 

第1問

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曲線の接線のx切片の存在範囲を求める問題です。

 

この手の問題は、接点を(t, f(t))と先に設定してから(a,0)を代入する、というのが基本です。

こうすることで、a=g(t)の形になり、tが色々動いたときにaつまりg(t)はどの範囲を動くか、という問題に置き換わることになります。

要は、g(t)のグラフを描けばおしまいです。

 

正直、教科書の章末問題にあってもおかしくないレベルで易しい問題なので、解けていないとマズい問題です。

 

<筆者の答案>

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第2問

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整数係数の4次式で余りを考える問題です。

 

問題文にある(1+√3i)/2という複素数がかなり扱いやすい数になっています。というのも、これをαとすれば、α=cos60°+isin60°なので、αの累乗がド・モアブルの定理で簡単に計算できるからです。これを用いて「実部=0, 虚部=0」に持ち込めば(1)ができます。

 

(2)は意外と息の長い計算が必要です。

着目ポイントは、αがf(x)=0の解になっている時点で、αの複素共役も解になる点です。この時点でf(x)はx^2-x+1で割り切れることが分かります。

あとはf(1),f(-1)の余りの条件を愚直に処理していくしかないです。

 

<筆者の答案>

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第3問

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四面体の外接球の半径を求める問題です。これは難問といえるかと思います。

 

(1)は、与えられた条件を使って、まずはベクトルOA,OB,OCの内積の満たす式を求めます。このとき、具体的な長さの情報をあえて使わないことで、対称性のある式を作れます。

問題はOA, OB, OCの長さをどう出すかで、実は余弦定理でうまくいきます。

(所詮入試問題なのですから、何かしらうまくいくように問題設計されています)

 

(1)はもしかしたら(2)の誘導だったのかもしれませんが、どう使うかイマイチ分かりかねたので、(2)は独立に解くことにしました。

 

(2)は外接球の中心Tをベクトルで書いて、OT=AT=BT=CTとなることから係数を決めることができます。(1)を解く過程で出てきた内積を、あらかじめ値を出しておくとよいです。

※なぜ60分弱かかったかというと、(1)で余弦定理を使うというアイデアが出るのに時間がかかったことと、(2)で「内接球」と勘違いして途中で引き返したのが原因です。

 

[3/15追記]

数学系youtuberのAKITOさんが、中学数学だけで解く華麗な解法を紹介しておりました!!感動モノでした。。図形のセンスがあるとはこういう方をいうのでしょうね。

https://www.youtube.com/watch?v=chVqJdYHr_w

(21:13あたりから)

 

<筆者の答案>

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第4問

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4個のサイコロの目の積を考える確率の問題です。昨日解いた北大の第3問とそっくりな問題ですね。

 

(1)は「少なくとも5が2つ出る」なので、余事象を考えましょう。

(2)も、「4の倍数にならない」確率のほうが考えやすいでしょう。

(3)は、(1)と(2)の考察から、出る目の組み合わせは、

  (5,5,4,〇)、(5,5,2,2), (5,5,6,2), (5,5,6,6)の4パターンしかないことが分かりますので。

それぞれの場合の数(カッコの中の数字の並べ方)を出せばよいでしょう。

 

<筆者の答案>

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第5問

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円柱を平面でぶった切り、その体積と回転体の体積を計算する問題です。

 

やはりいつもの「断面積を出す→積分」です。

((1)の設問が丁寧すぎる気がします。東大京大ならノーヒントでTの体積を出させます)

 

(1)は、考える立体が円柱と「金太郎飴」のような平面なので、断面が非常に考えやすくなっております。

(2)は(1)で出した断面を回転させるので、ドーナツ型の断面ができることになります。

 

これは1の次位に簡単なので、ぜひ押さえたい問題ですね。

 

<筆者の答案>

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