ちょぴん先生の数学部屋

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2020年度 北海道大理系 解いてみました。

第6弾は、北の大地、北大です。

 

 

 <概略> (カッコ内は筆者が解くのにかかった時間)

1.三角形の外接円(25分)

2. 格子点の数え上げ (20分)

3. サイコロの目の最小公倍数・最大公約数 (23分)

4. 漸化式の極限 (24分)

5. 微分方程式 (14分)

 

合計106分 (参考:試験時間120分)

<体感難易度>

易レベル:なし 、標準レベル: 2,3,5 、やや難レベル:1,4 、難レベル:なし

去年と同じく、平易な難易度の出題となっています。やや発想の必要な4以外は十分高得点が狙いに行けるかと思います。

 

<個別の感想>

第1問

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三角形とその外接円に絡むベクトルの問題です。

(1)は余弦定理を使えばいいでしょう。

 

(2)がある意味この問題の山場といえます。

注目すべきポイントは、「線分APが外接円の直径となっている」「Oは外接円の中心なのでOA=OB=OC=OP=外接円半径」の2点だと思います。

これだけ長さに関わる情報がそろっているので、長さに関するs,tの連立方程式を作って解く方針が得策でしょう。半径は、正弦定理で求まります。

このまま進めるとs,tの組が2つ出てきますが、「PはBCを挟んでAの反対側にある、つまりs+t>1」というベクトルの係数の性質を利用すれば一択に決まります。

 

(3)は、(2)でBD:DCの比が分かるので、2回余弦定理を使えば求まります。

 

<筆者の答案>

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第2問

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格子点の個数の数え上げ問題です。

 

(1)は、いわゆる2元1次不定方程式という、整数問題でよく出てくる方程式です。この解き方はほぼワンパターンなので覚えてしまって損はないです。

 

(2)は、(1)でL上の格子点の一般解が求まったので、具体的にAとBを調べておげましょう。距離を計算するときに、平方完成をしてしまうとえらく汚くなってしまうので、単調性をうまく使えると労力を節約しつつ最小値を出せます。

 

最終的には2辺が軸平行な直角三角形に含まれる格子点の数を数えますが、この時は、一旦長方形を考えてあげると数えやすいです。

 

<筆者の答案>

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第3問

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サイコロの目の最小公倍数、最大公約数に着目した確率の問題です。

 

今回は、漸化式を使わず直接確率を計算するのがよいです。

(漸化式だと、直前の最大公約数が・・と場合分けが煩雑になってしまいます)

 

(1)は、「3か6ばかりが出て、かつ少なくとも1回は3が出る」確率を出せばよいです。

 

(2)は、直接「最大公約数=1」を出すのは難しいです。なぜなら、n回のうち1回でも互いに素な数字が出たらその瞬間「最大公約数=1」になってしまい、場合の数が膨大になってしまうからです。それより、(1)のヒントもあるので、「最大公約数が2以上」の確率を出して、1から引く、のほうが遥かに考えやすいです。

 

(3)は、1~6のうちどの数字が最低限出れば最小公倍数=20になるかを考えましょう。

要するに「4と5は最低1回ずつは出る かつ 3と6は登場しない」であればよいわけです。

 

<筆者の答案>

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第4問

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直接一般項を出せない数列の極限を考える問題です。この問題は全体を通して発想力が問われる問題です。

(1)の前半は、ただの帰納法です。後半はy=f(x)とy=xの上下関係をグラフから判断するのが一番いいと思います。

 

(2)は少し難しめです。bn+1-bnで正負を判別できないので、これまた図形的な解釈で証明を行いました。(答案では、y=f(x)の2点間の傾きと解釈しています)

 

(3)は、これまでの考察からanは1に収束しそうだと予測できるので、その体ではさみうちに持ち込みます。このときに(2)が有効利用できます。この不等式評価は、大学数学のεδ論法でよく使うテクニックですが、慣れが要ると思います。

bnは「微分係数の定義」で計算できます。

 

<筆者の答案>

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第5問

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微分方程式の問題です。

ゴツい積分の式を両辺xで微分して解き進めます。答案では、大学教養数学チックな「対数微分法」という解法で解いています。

 

(2)も単純な面積計算(積分計算)ですので、平易です。最後の極限は、またしても「微分係数の定義」です。

 

[3/19追記]

(1)は、実は直接積分を計算できるということに、気が付きました。。。

 

<筆者の答案>

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