ちょぴん先生の数学部屋

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2020年度 阪大理系 解いてみました。

第8弾は、阪大です。

 

<概略> (カッコ内は筆者が解くのにかかった時間)

1.底と指数の両方にxが入っている関数の概形(7分)

2. 複素数平面の絡んだ確率 (28分)

3. 三角形の辺の長さの満たす条件式  (15分)

4. 双曲線と直線絡みの面積・極限 (17分)

5. 三角形からできる回転体の体積の最大値 (24分)

 

合計91分 (参考:試験時間150分)

<体感難易度>

易レベル:1 、標準レベル: 2,4,5 、やや難レベル:3 、難レベル:なし

難易度は、難しすぎた去年の反動からか大幅に易化したといえます。

 

第1問

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底にも指数にも両方xが入っている関数のグラフを描かせる問題です。

 

「両辺で対数をとってから微分する」という手法さえ知っていれば、取るに足らない問題です。本当にそれだけの問題でした。

 

阪大でなくとも、旧帝大以上を受けるレベルの受験生は瞬殺で解けないとダメです。

 

<筆者の答案>

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第2問

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複素数平面の絡んだ確率の問題です。

 

一見、複素数が絡んでいてわかりにくいですが、落ち着いて考えればタダの見掛け倒しです。

なぜなら、「複素数の掛け算」というのは、元の数を「回転」させるという操作だからです。よって、この問題の設定をかみ砕けば、

 

・サイコロの目が1⇒60°反時計回りに回転

・サイコロの目が2⇒60°時計回りに回転

・サイコロの目がそれ以外⇒その場に留まる

という、よくある確率の問題に翻訳できてしまうわけです。

 

こうなってしまえば、実数と虚数の行き来を考える以上、確率漸化式で解くのが効果的な解法となります。

 

<筆者の答案>

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第3問

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辺の長さの満たす条件式の証明問題です。

 

一見何をすればよいか分からない、発想寄りの問題です。強いて言えば、この問題が本セットの最難問です(難問というほどでもないですが)。

 

とりあえず角度と長さの情報があるので、角度Bをθとおいて以下を考えてみましょう。

①ABCが三角形として成立するには、θはどんな条件を満たすべきか? →角度Aが存在できる条件は?

②bとcが満たす方程式は何だろう? →対辺と角度が既知だから、正弦定理を使えばよさそう。

 

上のような発想で進めていくと、c=f(θ)bと条件式が求まります。

これで、ようやく問題文の証明したい不等式とつながり、結局「f(θ)<n」が言えればいいという発想に至ります。

「f(θ)<n」の証明の仕方は色々考えられますが、答案では和と積の変換公式を利用して証明しています。

 

余談ですが、ここで出てくるf(θ)=sinnθ/sinθは、実はcosθのn-1次式で書けることが知られており、「第2種チェビシェフ多項式」と呼ばれています。第1種チェビシェフ多項式は、cosのn倍角の公式を指します(cosnθは、cosθのn次式でかける)。

 

<筆者の答案>

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第4問

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曲線で囲まれた領域の面積と、その極限を考える問題です。

 

考える領域の形は、tが十分小さい時(直線と双曲線がクロスしない場合)と、tが十分大きい時(直線と双曲線がクロスする場合)で様相が異なります。

 

今回の問題では最終的にtを無限大に飛ばしてしまうので、後者の場合だけ考えればよいです。

 

あとは、S(t)の式を順当に求めて、順当に極限を出すだけです。極限を出すときに使うテクニックとしては「分子の有理化」くらいだと思います。

 

この問題も1ほどではないにせよ、押さえておきたい問題です。

 

<筆者の答案>

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第5問

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三角形による回転体の体積の最大値を考える問題です。

 

全体の流れは、(1)1文字固定して最大条件を考える⇒(2)固定を外して最大条件を出す という、いわゆる「予選決勝法」という流れになっています。

 

この問題の肝は、予選決勝法に入る前段階の、Vをa,bの式で表現する過程だと思います。

 

初手では、まず3辺a,b,2-a-bが「三角形になる条件」を絶対に考えてください。

次に必要になるのが、点Aと辺BCとの距離なので、これを最優先で出しましょう。

こうなれば、Vは底面が共通の2つの円錐になるので、体積が簡単に計算できます。

 

以降は誘導通り、予選決勝法で解くだけです。

※予選決勝法は、大学数学で習う「偏微分」と本質的に同じ概念です。

 

<筆者の答案>

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