第9弾は、東北大です。
<概略> (カッコ内は筆者が解くのにかかった時間)
1.三角形の垂線上の点(18分)
2. 円と直線の交点数 (24分)
3. 整数式の不等式・方程式 (17分)
4. 箱の中にある玉の個数に関する確率 (36分)
5. 複素数の軌跡 (22分)
合計144分 (参考:試験時間150分)
<体感難易度>
易レベル:1 、標準レベル: 2,3,5 、やや難レベル:4,6 、難レベル:なし
難易度は、去年に比べると若干易化したような感じです。東北大らしいバラエティに富んだ良問が揃っています。
第1問
三角形の内部の点について考える問題で、平易な図形問題となっています。
(1)は余弦定理で一発ですね。これは絶対に落とせません。
(2)は、(1)からAH, BH,CHといった辺の長さの情報が分かるので、AP,BP,CPの長さをsで表現していきましょう。
これらの長さの出し方は、ベクトルを使った解法と、三平方の定理をバンバン使う平面幾何的な解き方が考えられ、答案では前者を採用しています(後者のほうが楽だったかも・・)。
いずれにせよ、最終的にはsの2次関数の最小値を考えることに帰着します。
<筆者の答案>
第2問
円と直線の交点の個数を考える問題です。
(1)はLとMの交点を計算して、Cの式に代入するだけです。
(2)のような円と直線の交点の個数は、「円の中心と直線との距離」と「円の半径」との大小関係に持ち込むのが定石です。絶対値の入った不等式が出てくるので、場合分けを丁寧にやって解きたいです。
(3)は、どういう状況がありえるのかを書き出してみるのが第一歩です。
交点が合計3個となるのは、
①Pが2個+Qが1個、②Pが1個+Qが2個、③Pが2個+Qが2個で1個がダブる
の3通りが考えられます。①の状況を(2)で、③の状況を(1)で考察していたわけです。
あとは②の状況を考えて、十分性を確認しましょう。
<筆者の答案>
第3問
整数で構成された不等式・方程式を解く問題です。
(1)は、数学的帰納法で行けると思います。
(2)は、(1)にならないケースなので、自ずとn=1,2以外に候補はありません。
あとは、それぞれ個別にチェックしましょう。
(3)は、問題文の条件からan+bは0以上になります。よって少なくとも(2)の状況を満たさないとダメなことが分かります。これに気づいてしまえば、あとは個別に検討するだけです。
<筆者の答案>
第4問
お馴染み、確率の問題です。
このゲームの設定を整理すれば、結局
・表だったら玉が箱から1個減る、裏だったら箱の中の玉の個数はそのまま
ということになります。よって、(3)以降は、色は全く関係なくなります。
(1),(2)は、どういう順番でどういう取り方+コインの出方をすればよいかを個別で考えて、確率を足し上げる形になります。
(3)はn回後に、箱に残っている玉の数で場合分けして確率漸化式を立てるのがよさそうです。確率漸化式が5個出来上がり、芋づる式に求めていきます。
その過程で、等差数列・階差数列が出てきてその都度Σ計算を行うことになります。
最終的に、
「ちょうどn回でゲーム終了する確率」
= 「n-1回で箱の中の玉が残り1個になる確率」×「n回目で表が出る確率」
で求まります。
(4)は、数列の最大・最小を求める問題なので、「Pn+1とPnの大小関係」がわかればよいことになります。
この解き方も頻出で、「Pn+1-Pnと0との大小」か「Pn+1/Pnと1との大小」のどちらかで考えますが、今回はpnの式が分数の形で、かつ階乗や指数がたくさん出てくるので、色々約分できる後者のほうがスッキリすると思います。
<筆者の答案>
第5問
複素数の軌跡を考える問題です。
(1)は、分母に共役な複素数をかけるだけです。
(2)も、(1)を使いながら愚直に計算するだけです。答えはtを含まない定数になります。
(3)が本題ですが、(2)をわざわざ計算させている時点でピンと来てほしいですね。
(2)の形は、複素数平面の世界で「円」を表す式となっています。
だからといって、「zの軌跡は、中心i/2, 半径〇〇((2)の答え)の円だ!!」と性急に答えてしまうと大減点どころか、バツを食らう羽目になります。
あくまでzの軌跡は円の「一部」なのであって全部とは限りません。ちゃんと円のどの部分を動くのかをチェックしないとダメです。
このとき(1)で求めたzの実部と虚部が、-1<t<1でどの範囲を動くかをチェックすればよいでしょう。
<筆者の答案>
第6問
三角関数の入った積分で漸化式を作る問題です。この問題は、様々な発想が必要となる本年の最難問だと思います。三角関数の積分の経験値を大分積んでいないと太刀打ちできません。
(1)の前半は、sinをcosに、cosをsinにできないか、という着眼からスタートです。こんなときに、都合のいい公式がありました。x=π/2-t と変数変換してみてください。
すると見事にcosx = sint, sinx =cost となってsinとcosがひっくり返ることになります。
(1)の後半は、(cosx)^2= 1- (sinx)^2を使えばよく、さほど難しくありません。
(2)は、(cosx)^m ×(cosx)'の形になるので、y=cosxとでも置換すればOKです。
(3)は、証明する式の中に、1/(m+1)があることに注目できると思いつけるかもしれません。(cosx)^mを1回積分すると、この係数が出てきます。よって、この事実を使って部分積分すれば行けるんじゃないか、となるわけで、実際うまくいきます。
(4)は、(1)の後半の式と(3)から「A(m,n)が有理数⇒A(m+2,n)も有理数」が言え、(1)の前半の式から、カッコの中を入れ替えた、「A(m,n)が有理数⇒A(m,n+2)も有理数」も言えることになります。さらに、(2)からA(1,1)は有理数であることが分かっています。
ここまでくれば、やることは1つ、帰納法ですね。
ちなみに、mとnの少なくとも1つが偶数の場合は、「ウォリス積」と呼ばれる、「有理数の無限の掛け算の結果が円周率になる」という興味深い結果が出てきます。
<筆者の答案>