ちょぴん先生の数学部屋

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平成の京大理系数学 -2015年-

このシリーズでは、東大に引き続き、平成の京大理系数学の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

京大の数学の問題も、難易度は高いですが良問の宝庫であり、演習価値が非常に高いです。

(時々、どうしようもなく難易度が高く、筆者の力量でも解けない問題が出てくることがありますが、どうかご容赦くださいm(_ _)m )

 

5回目の今回は、2015年の問題です。

第1問

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2つのsin関数で挟まれる領域を回転してできる立体の体積を求める問題です。

 

山場は、2つの関数の交点を求める部分でしょう。x+π/8 = 2xの解ははもちろん交点なのですが、sinx = sin(π-x)となるので、x+π/8 = π-2xの解も交点になります。

和積の公式を用いて因数分解して解くのもOKです。

 

交点の座標さえ求まれば、お馴染みの積分です。

 

<筆者の解答>

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第2問

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円に外接する四角形の面積の最小値を求める問題です。

 

条件(a)を満たす四角形は、

1. となりあう2つが90°

2. 向かい合う2つが90°

の2通りがあるので、それぞれについて面積を求めましょう。

 

円を原点中心にした座標系をとると考えやすいと思います。

 

最終的には、四角形が正方形になる時が最小値になります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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指数関数の接点とx切片の差の極限を求める問題です。

 

(1)は、接点をx=tとおいて、x=tでの接線が(a,0)を通る、と考えるとやりやすいです。

接線の式をtの方程式とみなして、どんなaに対してもtが1通りに決まることを、グラフを用いて説明すればよいです。

 

(2)は、(1)の接線の式を用いると、an+1 - an = 1+ e^(-an+1)と求まりますので、結局anの極限が分かればよいことが分かります。

直観的にはanが無限大に飛ぶことが想像できますが、ちゃんと証明したければ、an+1 - an = 1+ e^(-an+1)で各辺和をとって、an>nが言えればよいです。

 

<筆者の解答>

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第4問

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正四面体の中の三角形の角度を考察する問題です。

 

これは、AQ=tとして、余弦定理を何度も使うことでcos∠PDQをtで表現して、増減を調べればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第5問

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2次式÷1次式が、自然数nを代入するといつも整数値になる時、割り切れることを証明する問題です。これは発想力が要求される難問です。

 

方針決めからして発想が要るのですが、今回は背理法を使うとうまくいきます。

 

つまり、f(x)をg(x)で割るとr余ると仮定して、矛盾を導きます。

 

ここで、大事な事実なのですが、もしF(x)が、全ての整数nに対して整数値をとる時、F(n+1)-F(n)は必ず整数になります。隣り合う2つの数が整数なら、その差も整数という、まぁ当たり前の話なのですが、これを使っていきましょう。

 

この定理を2回使ってあげると、「rの定数倍÷nの3次式 =  整数」が導かれます。

 

ところが、分子が定数なのに対して、分母はnを大きくするといくらでも大きくなるので、rが0でないと仮定すると、いずれ「分子<分母」となって整数ではなくなってしまいます。

 

よって、あらゆるnで整数となるためにはr=0でないといけないことが分かりましたので、これで証明完了です。

 

<筆者の解答>

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第6問

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xnの漸化式が確率で変化するときに、xn<2/3となる確率を求める問題です。これも状況把握の難しい難問です。

 

まず値がどう変化するか実験して、以下の事実を調べておきましょう。

1つ目は、漸化式によらずxn+1 <2/3になるようなxnの範囲を求めましょう。xn<1/3ですね。

2つ目は、どんなに頑張ってもxnが1以上、あるいは0以下になれないことを示します。

 

以上を踏まえると、xnは0,1/3,2/3,1の4つで区切ることができて、

A:0<xn<1/3

B:1/3<xn<2/3

C:2/3<xn<1

の3つの状態を考えれば十分なことが分かります。これを見極めるのがこの問題の一番難しいポイントです。

 

ここまでくれば、確率漸化式によってそれぞれの確率を求めることができます。

 

<筆者の解答>

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