東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、東北大学の2011年の問題を取り上げます。
第1問
点の存在範囲を考える問題です。問題の意味が捉えにくい難問です。
まずは、y= 2ax-a^2 +2a +2の-1≦a≦2における通過領域を調べてみましょう。
通過領域の調べ方は、
・順像法:xを固定してyの取りうる値の範囲を調べる。
・逆像法: 直線の式をaの方程式とみなして条件を満たすaが解として存在するx,yの条件を求める
の2通りがありますが、今回は順像法のほうがやりやすいでしょう。
いずれにせよ、通過領域を調べると、とある放物線の接線の集合体になることがわかります。
この接線たちの下側の領域について、この問題は訊いています。
(1)は、この接線たちがどんなに動いても、接線の下側にあり続ける領域を答えることになります。
(2)は、一度でも接線の下側に収まる領域を求めることになります。
頭の中で接線がどう動くかをイメージすることが重要です。
<筆者の解答>
第2問
円の中心の軌跡と面積を考える問題です。
(1)円の式とy=-xを連立してできる方程式が、x=aで重解を持つ条件を考えればよいです。
(2) (1)の結果を使ってX,Yの増減を調べると、Cの概形を書くことができるので、y=1との交点を求めて、置換積分を使いつつ、積分計算を実行しましょう。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題です。玉は元に戻さないことに注意が必要です。
(1)の状況は、2回ともAの番になり、かつ両方とも赤を引く場合です。
(2)「少なくとも」とあるので余事象を考えたくなりますが、今回はBが1個赤をもらう場合と2個赤をもらう場合をそれぞれ調べたほうが早いです。Bが赤をゲットできない場合が多すぎるためです。
それぞれどのタイミングで赤を入手するかで場合分けが必要です。
(3) 2回目までに赤が何個抜かれているかによって、Cが赤を引く確率が変わってくるので場合分けして調べましょう。
<筆者の解答>
第4問
ベクトルの問題です。
まずはORベクトルをa,b,tで表すのが第一歩です。RがAQ上にあり、かつBP上にあるという条件を処理しましょう。
次にORベクトルとABベクトルのなす角が議論の対象になっているので、内積がどんなθについても0にならない条件を考えます。内積を計算すると、cosθが登場しますが、このcosθの係数の正負によって場合分けが発生します。
<筆者の解答>
第5問
複素数の方程式を考える問題です。(1)が、(2)(3)の伏線として機能します。
(1) zの2次方程式なので、それを解きましょう。
(2)zを両辺にかけてみると、zが実数になっていることがわかります。よって、求める条件は、(1)が実数解を持つ条件に他なりません。
(3)も同様にzをかけてみると、|z|^2の2次方程式になります。よって、求める条件は、(1)が正の実数解を持つ条件となります。
<筆者の解答>
第6問
一次変換に関する問題です。
この問題の肝は、Pnの座標を求めることです。
Pnの座標を(xn, yn)とすると、xnとynの連立漸化式が出来上がります。これをどう解くかが
カギとなります。
漸化式を解く際の基本は、等比数列の形に持ち込むことです。
この発想に基づいて、xn+1 - α*yn+1 = β (xn - α*yn) という等比数列の漸化式を無理矢理作ってあげます。このαとβを具体的に求めてあげればよいわけです。
このようにしてPnの座標が求まってしまえば、あとは(10,10)との距離を計算して最小化してあげればよいです。nが整数だということを忘れずに。
ちなみに、Pnの座標を求める汎用的な方法は上の手法なのですが、今回に限っては、実験することで一般項の予測が簡単にできるので、数学的帰納法によっても求めることができます。
<筆者の解答>