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平成の名古屋大理系数学 -2011年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、名古屋大学の2011年の問題を取り上げます。

第1問

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体積の問題です。

 

(1)Ksはバウムクーヘンのような形になります。V(s)は3次関数なので、その最大最小を微分を使って調べます。

 

(2)Ksを平面y=tで切った断面を回転させます。tの値によっては間に空洞ができることに注意します。

 

<筆者の解答>

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第2問

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行列を題材にした確率の問題です。

 

この問題の設定では、逆行列を持たないのは、1つの行または列の数字がすべて0になることです。

 

もし一つの成分以外がすべて0なら、斜めの数字が0でなくなれば逆行列を持つようになり、1つの行(列)が0でそれ以外が0でないなら、片方の0が0でなくなれば逆行列を持つようになります。

 

このことを念頭に置いて、A1,・・・, An-1がすべて逆行列を持たず、Anが逆行列を持つような、行列の作り方を考えていきます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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一定の比を満たす点の存在条件を考える問題です。(2)が非常に条件処理が煩雑で長い難問です。

 

(1)は、P(x,y)として、AP=aOPを変形していきます。aが1か否かで場合分けが発生します。

 

(2)問題文は、AP=aOPかつBP=bOP となるPが存在する条件なので、(1)で求まったPの軌跡と、同様にBP=bOP となるPの軌跡とが交点を持つ条件を調べることになります。(1)の答えは(a=1やb=1の場合を除いて)円になるので、2つの円が交点を持つ条件と言い換えられます。

 

2つの円が交点を持つ条件は、(半径の差)≦(中心間の距離)≦(半径の和)となりますので、これをひたすら処理していきます。

 

a.bがそれぞれ1なのか、1より大きいか小さいかで場合分けが発生するため、処理が非常に長く大変です。

 

<筆者の解答>

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第4問

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整数係数の2次方程式が、整数解を持つ条件を求める問題です。(2)が難問です。

 

(1)は、方程式を解の公式を使って解いたときにルートが外れないといけません。よって√の中身、a^2 - 4a が平方数になっていないといけません。因数分解を使ってaの候補を絞り込みましょう。

 

最後に、求まったaで、ちゃんと整数解を持つ十分性も確認しましょう。

 

(2)は、思いつかないとまず無理だと思います。

(1)と同じように、√の中身が平方数、、と行きたいところですが残念ながらうまくいきません。

 

ここで、x^2 +ax+b =0 の解をx1, x2とすると、x1とx2は両方マイナスの数になります。特にx1, x2は整数なので、両方-1以下の数となります。

 

よって、(x1 +1)(x2 +1)≧0が言えるので、これに解と係数の関係を適用すると、

b≧a-1 が出てきます。これとa>bを合わせると、b=a-1で確定します。この部分が経験がないとまず不可能なポイントです。

 

これが分かると、あとはy^2 + (a-1)y +a =0が整数解を持つ条件を考えることになり、これは(1)と同じ考え方ができます。

(※x^2 +ax + a-1=0は、x=-1, x=1-aと必ず整数解を持ちます)

 

<筆者の解答>

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