ちょぴん先生の数学部屋

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ヨビノリさんからの挑戦状 ~数学夏祭り 第7問~

ヨビノリさんの企画、「数学夏祭り」に参加しております。

本日9/8に出題された、第7問はこちら、

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傍心円にまつわる図形問題ですね。早速やっていきましょう。

(筆者の解答時間は30分でした。が、ある公式を知っていれば5分以内に解けてしまうと思います。)

 

筆者の解答

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傍心円の半径と三角形の面積の関係を知っているかが問われる問題でした。

 

さて、三角形には5種類の「心」があるのでした。改めて列挙してみると、次のようになります。

 

1. 重心: 頂点とその対辺の中点を結んだ直線(中線といいます)が交わる点

2. 外心: 各辺の垂直2等分線が交わる点。三角形の外接円の中心となります。

3. 内心: 各頂点の角の2等分線が交わる点。三角形の内接円の中心となります。

4. 垂心: 各頂点から大変に下した垂線が交わる点。

5. 傍心: ある頂点の内角の2等分線と、残りの2頂点の外角の2等分線が交わる点。

 

傍心以外の4つは高校の教科書にも頻繁に登場するので馴染みがあると思いますが、最後の傍心は、どうにも馴染みがないですよね。

 

というのも、傍心は、内角の選び方が3通りあるので、1つの三角形に対して、傍心は3つ存在することになります。この点が非常に変わっている点ですね。

 

そして、1つの傍心を中心に、三角形の辺を延長してできる3直線と接するように描いてできる円のことを、「傍接円」と呼ぶわけです。

 

同じ角の2等分線からできる点ということで、傍心は内心の親戚にあたり、似たような性質を使うことができます。

 

今回の問題は、まさにこの内心と傍心の性質を使って解く問題です。ぶっちゃけ外接円の情報はダミーです。忘れてしまいましょう。

 

図については、答案を見てほしいのですが、

最初に△ABCの辺の長さをa,b,cとして、内心をI, 傍心の1つをIaとします。(Iaは、Aを内角として選んだ場合の傍心です)。また、△ABCの面積をSとします。

 

まず、△ABCの中に内心Iを具体的に描いてあげると、

△ABCの各辺を底辺、内接円半径rを高さとする3角形が3つ出てくることが分かります。ここから、

S = 1/2 (a+b+c)r

が求まります。

 

次に、傍心に注目してあげると、四角形ABIaCの面積を以下のように2通りに表現できます。

△ABC + △IaBC = △IaCA + △IaAB

 

さらに傍接円の定義から、底辺が△ABCの各辺、高さが傍接円半径rAとなる三角形なので、

△IaBC =1/2 a rA

△IaCA =1/2 b rA

△IaAB =1/2 c rA

と求まります。

これらを使うと、Sを別の式で表現できて、

S= 1/2 (-a+b+c) rA

とかけます。

 

B,Cの傍心についても同じように考えれば、

S= 1/2 (a-b+c) rB

S= 1/2 (a+b-c) rC

と求まるので、Sを計4通りで表現できました。

4つの式を使って、a,b,c,Sを消去すると、シンプルな式になって、

 

1/r = 1/rA + 1/rB + 1/rC

 

と内接円半径と、傍接円半径との関係式が求まります。

 

この式さえわかれば、ここにr=20, rA=65, rB=72 を代入すればrCが求まることになります。(冒頭に、5分で解けると書いた所以はこれです。ただ、この式を暗記している人はほぼいないと思うので、、、私自身、今回初めて知りました)

 

rCは、汚いですが、rC= 4680/97 となります。もっとうまい数字に設定すればよかったのに。