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2023年度 北大文系数学 解いてみました。

2023年も大学入試のシーズンがやってきました。 今回は、北海道大学文系数学に挑戦します。

なお、原則文系ユニークの問題のみ解いていきます。理系の記事は↓

2023年度 北大理系数学 解いてみました。 - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1:   関数方程式(10分)

2:  傍心のベクトル表示(25分)

3:  絶対値の和に関する確率(70分)※理系第4問とほぼ共通

4:  接する円と放物線(20分)

計125分

 

<体感難易度>

1=4<2<<3

 

今年に関しては文系の方も厳しいセットで、昨年比では勿論難化です。

第4問は典型問題なので完答すべきで、第1問もさほど難しくはありません。

ただ、第2問の(2)は「傍心のベクトル表示」というあまり過去に例のない出題で、その場で解くのは(特に文系の受験生にとっては)かなり厳しいと思います。第3問は理系のセットで猛威を振るった確率の問題とほぼ同じ問題で、文系では間違いなく捨て問ですね。

 

<個別解説>

第1問

関数方程式の問題です。

 

(1)与式にx=0を代入してあげればただのP(0)の2次方程式になります。

 

(2) P(x)がx-1で割り切れるなら因数定理からP(1)=0が言えます。x-1は1次式なのでP(x)をx-1で割った余りは定数になるはずなので、逆に言えばx-1で割り切れなければP(1)≠0と言えることになります。

 

これに留意してx=1を代入してみるとP(-1)-1=0となります。これは因数定理の条件をばっちりクリアしてますね。

 

(3) P(x)=ax^2 +bx+cとおいて代入して、xの恒等式として処理していきましょう。一応検算として、出てきた答えが(1)(2)の事実に反してないか確認してみるとよいでしょう。

 

<筆者の回答>

 

第2問

傍心のベクトル表示に関する問題です。この問題は(2)が本題と言えます。

 

(1)こちらは角の2等分線の性質からAP:PB=3:5となることに気付ければ容易に解けるでしょう。△OABの辺の長さから内積OA・OBも調べられるので、|OP|もこれで計算できます。

 

(2)こちらは難問の類です。

まず、この問題におけるQは、△OABの『傍心』の1つになっています。

傍心というのは、三角形の5つの心(重心、外心、内心、垂心、傍心)のうちの最後の1つで、「三角形の1つの頂点の『内角』の2等分線と、残り二つの頂点の『外角』の2等分線が1点で交わる」というもので、内角に選ぶ頂点が3通りあるため、他の4心とは違って、1つの三角形に対して傍心は3つ存在します。あまり教科書でも入試問題でもお目にかからない、マイナーな心です。

 

で、今回の問題は、この傍心の1つの位置ベクトルを求めよ、というものになっています。ほとんどの受験生にとって初見の問題だったことは想像に難くないです。

 

まず、OQはOPの定数倍だというのは図からすぐに分かりますので、この条件はいいでしょう。問題は、もう1本の条件(Bの外角の2等分線)をどうするか、です。

 

ベクトルと言う道具は、長さの比には強いですが角度の条件に対しては無力なことが多いので、どうしても初等幾何の助けを必要としがちです。

 

ここで、突然ですが「ひし形」を考えてみましょう。ひし形に対角線を引くと、ちょうど結んだ頂点の内角が2等分されますね。これをヒントにできないでしょうか?

 

ということで、Bの外角の部分に無理やりひし形を作ります。ひし形ということは各辺の長さが等しくないといけないので、そこは長さを1に調整することで対応します。

 

そうすると、ひし形の隣り合った辺に対応するベクトルを足せば、対角線のベクトルができます。上記の考察から、これこそが、Bの外角の2等分線の向きを決めるベクトルになります。

これで、2本目の条件式が立ちました!

あとは、OAとOBが1次独立なベクトルなので係数比較をすることでOQベクトルが求まり、|OP|との長さの比から|OQ|も求まります。

 

これを初見で理系の受験生相手ならともかく、文系の受験生にやらせるのはあまりに酷というものでしょう。

 

<筆者の回答>

 

第3問

理系第4問とほぼ共通の問題で、詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

(2)以降は理系のそれと同じ問題で、(1)だけが文系オリジナルです。

 

<筆者の回答>

 

第4問

接する円と放物線に関する問題です。

 

(1)CとPがA(a, a^2+q)で接するとして、CとPそれぞれについてAでの接線の式を作り、それが一致するようにa, qを決めていきましょう。今回は、傾きが正の場合だけ考えているのでa>0を考えることになります。

 

(2)領域を図示できれば、積分計算で面積が計算できます。円の部分に関しては、うまくできていて中心角が60°となっているので小学校の知識で計算できます。

 

<筆者の回答>