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2023年度 京大文系数学 解いてみました。

2023年も大学入試のシーズンがやってきました。 今回は、京都大学文系数学に挑戦します。

なお、原則文系ユニークの問題のみ解いていきます。理系の記事は↓

2023年度 京大理系数学 解いてみました。 - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1(1):  確率 (2分) 

1(2):  3乗根に関する分母の有理化 (8分) 

2: 空間ベクトル(10分) ※理系第2問との共通問題

3: 正五角形の1辺の長さの評価 (20分)

4: 漸化式(15分)

5:  積分による関数決定(15分)

 

計70分

 

<体感難易度>

1(1)<<2≦4<1(2)<3=5

 

京大は文系についても解きやすいセットで、昨年に引き続き易しめのセットとなりました。割と目新しく感じたのは第1問(2)の「分母の有理化」ネタでしたね。

 

<個別解説>

第1問

小問集合です。

 

(1)確率の問題ですが、少なくとも1回5が出る確率を求めればよいだけなので、瞬殺でしょう。

 

(2)分母の有理化の問題です。何気にこの手の問題は久々に解くような気がします。

 

2乗根の場合は、共役なそれを分母分子にかけることで和と差の積で分母を有理化できましたが、3乗根、特に今回のような1/3乗と2/3乗が混在してる場合にはその方法が使えません。

3乗根に対して有効な手札は、a^3 +b^3 =(a+b)(a^2 -ab+b^2)ないしa^3 -b^3 =(a-b)(a^2 +ab+b^2)といった3乗の形を作る公式になります。

b=3^(1/3)としたとき分母がbの2次式になるので、この2次式を上記の公式が使えるように1次式の積に因数分解することを目指しましょう。

 

与式のままでは因数分解ができないのですが、分母分子にbをかけることで因数分解できる形になります。

 

あとは、分子をb^3=3を使って整理していけば完成です。

 

[追記] 別解を2つほど追加します。

1つめは、a^3+b^3+c^3 -3abc = (a+b+c) (a^2+b^2+c^2 -ab-bc-ca)を用いて因数分解する方法、2つめは、有理化した結果が、pb^2+qb+r (p,q,rは有理数)になると想定してp,q,rを求めていく方法です。

 

<筆者の回答>

(別解です)

 

第2問

 

理系第2問と共通の問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

第3問

正五角形の1辺の長さを評価する問題です。

 

(1)2倍角と3倍角の公式の証明です。加法定理で示しましょう。

 

(2)図を描くと、正五角形の1辺の長さがa=2sin36°と書けることが分かります。なので、sin36°の値について評価していけばよさそうです。ただ、この値はすぐには引っ張り出せない代物なので(1)の結果を利用します。

 

θ=36°とするとcos3θ=-cos2θの関係が成り立っているので、(1)の式を使ってcosθの3次方程式に帰着させてcos36°の値を知ることができます。このままsin36°を求めると2重根号が入った状態になり考えにくいのですが、(sin36°)^2といった2乗の形であれば出てくる無理数が√5だけになるので考えやすくなります・

 

もしa>1.15だとすると、(sin36°)^2>529/1600が成り立っているはずなので、上記の過程で調べた(sin36°)^2がそれを満たしているかをチェックしましょう。幸い、今回は分母を1600に通分すると分子がかなり数値計算しやすい形になるので大小比較はさほど面倒ではありません。√5は「富士山麓にオウム鳴く」なので2.23<√5<2.24と評価すれば十分です。

 

ちなみに、関数電卓を叩いてaを計算してみると、a=1.17・・・となっていました。

 

<筆者の回答>

 

第4問

漸化式に関する問題です。

 

Snが出てきたら、基本的にはan+1 =Sn+1 -Snを使ってSnを消去して考えるのが基本です。

与式をSnについて解き、上記を使ってanだけの漸化式に帰着させればよいでしょう。それを解く過程で等差数列×等比数列のΣが出て来ますが、公比をかけて引き算するというのが定番ですね。

 

ただし、この漸化式はあくまでn≧2で成り立つ漸化式なので、個々で求まる一般項はa3以降しか保証されないことに注意が必要で、a1, a2については成り立っているか個別にチェックする必要があります。

 

<筆者の回答>

 

第5問

積分による関数決定の問題です。

 

左辺を展開するとyに関する3つの定積分が登場するので、それらをa,b,cと文字でおいてしまいましょう。すると、とりあえずf(x)がa~cを含んだ式で表現できるので、あとはa~cの式にそのf(x)を代入してa~cの関係式を調べ、連立すればよいでしょう。

 

とまぁ方針は容易いのですが、計算はそこそこ面倒です。

 

<筆者の回答>