ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応医学部数学 2015年

私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。今回は2015年の問題です。

第1問

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小問集合です。

 

(1)対数の不等式を解く問題です。底を揃えたうえで対数を外して考えていきましょう。真数条件に要注意です。

 

(2) 絶対値の付き方の違う2つの2次関数の最小値を考える問題です。平方完成を使って場合分けして考えます。

 

(3)三角関数の最大値についての問題です。f(x)を微分した関数は加法定理で1つにまとめられます。これが分かれば増減表を書くだけです。

 

<筆者の解答>

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第2問

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確率の問題です。

 

(1) 2個玉があるという条件下では玉の配置の仕方が6通りあるので、それぞれの状態の移り方をまとめて漸化式を作ります。

 

(2)1個玉があるという状態は、2個ある状態から1個玉が除去されるか、1個ある状態が変化するかで実現するので、(1)と同じように状態変化の図を描いて漸化式を立てます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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曲線の面積、直線との交点間距離を調べる問題です。

 

(1) 変曲点を訊かれているのでf(x)を2回微分して、f''(x)の正負が0<x<1で切り替わるか否かを調べます。

 

(2)積分するときに、q乗の中身が面倒な形をしているので変数変換することでまずは回避です。(う)についてはここから部分積分を使うのですが、問題文の式を作るには「どっちを微分してどっちを積分するか」をよく考える必要があります。(え)は(う)で得られた漸化式を繰り返し使います。

 

(3) 交点の座標を求めればよいのでCとlを連立して、解と係数の関係を使って、2次方程式に帰着させて考えます。PQについても解と係数の関係をうまく使って計算します。

 

<筆者の解答>

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第4問

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数列の「内積」「距離」を題材にした創作問題です。これは難問だと思いますし、特に(5)は完全に捨て問です。。この年は第3問まででどこまで解けるかの勝負だったと思います。

 

設定が目新しく見えますが、要するに「n次元空間にある点の内積・距離」になっています。成分が2個、3個であれば馴染みのある内積と距離になっています。

そして、A(s)は、最初のs成分までが0でなく、以降は0となるn次元空間上の点です。

 

(1) A(s)・A(s)をまずanの式で書き、さらに、A(s)A(0) =1を利用します。その後同様に

A(s)・A(t)をan, bnの式で書いて、A(s)A(t) =1を利用します。

 

(2) (1)の結果を使って順番に計算します。

 

(3) 数学的帰納法で証明します。すなわち、まずa1 = b1を証明し、次にkがi以下の時にak =bkを仮定したときに、ai+1 = bi+1 の成立を確かめます。

いずれにおいても「内積」が武器になります。

 

(4) 騙されたと思って、A(s)・B(t)を素直に計算してみましょう。(1)の結果がダイレクトに使えます。

 

(5) 前述のように発想が難しい捨て問です。

xn, ynの漸化式を立てたいのですが、A(s), A(s+1)の2つだけではynについてしか漸化式とならず、A(s+2)まで考慮しないとxnの漸化式が作れません。この3つをどう組み合わせて漸化式を作るのかが難しく、よしんば漸化式が作れたところでそれを解くのが大変という非常に難しい問題です。

 

<筆者の解答>

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