ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応医学部数学 2016年

私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。今回は2016年の問題です。

第1問

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小問集合です。

 

(1)

(ⅰ) 部屋割りの仕方は、2人部屋に入れる2人を選び、3人部屋に入れる3人を選ぶ方法です。(い)については、教員がどの部屋に入るかで場合分けします。

(ⅱ) 2人部屋にa人、3人部屋にb人、4人部屋にc人入るとして、a+b+c =7となる0以上のa,b,cの組を全て探し、それぞれに対して場合の数を計算します。

 

(2) c=222,223,224のそれぞれについて検討します。xとyを特定するには、11で割った余りを考えるとうまくいきます。

 

(3) 0≦x≦1のとき1≦e^x≦eとなることに注意すると、mと1,eの大小関係によって絶対値の外れ方で場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

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第2問

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確率の問題です。

 

(1)A~Cの状態の移り方を図にすると、an, bn, cnの漸化式が作れます。

 

(2) an+bn+cn =1を使うと、bnだけの漸化式が作れ、これが1個飛びの漸化式なので偶奇による場合分けが発生します。供連れでanも偶奇による差が発生します。

 

(3) an~cnは「途中でCにいてもよい」場合の確率だったので、「一度もCを通らずに」A,Bにいる確率pn, qnを新しく計算しないといけません。ということで改めて漸化式を作って、pn,qnを求めれば、dn = 1/2 ×qn-1 で計算できます。

 

(4)「a回分Aにいる→b回分Bにいる→C→c回分Aにいる→d回分Bにいる」という経路をたどれば題意を満たします。よって、a,b,c,dが何組あるかを調べる問題に帰着し、これは「n-3個のボールを一列に並べ、それを3個の仕切りで分ける方法」と同じです。

 

<筆者の解答>

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第3問

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立体図形に関する問題です。

 

(1) 問題文からA, Bはそれぞれ半径√(l^2 -1) の円周上にあることが分かるので、内積を使って(あ)を計算します。A', B'の座標は、A,Bのz座標を0にしたものなので、これまた内積を利用することができます。

 

(2)

(く)までについて

(1)のA, Bの座標の式から座標の値を確定させます。あとは、正四面体になる条件から、C(p,q,r)としたときにp,q,rの値を決めることができます。

 

(こ)までについて

正四面体を平面で切った時の断面は、結局各辺が平面とどこで交わるかを逐一調べないと分かりません。大変ですが全ての辺との交点を調べ、その交点が存在するtの条件をそれぞれ出していきます。最終的に、交点が4つあるtの条件を決めましょう。

 

(せ)までについて

どの辺のセットが平行なのかを見極めないといけないので少し難しいです。ベクトルの引き算を行って向きが等しくなるセットを探して図に起こしましょう。この図が描ければ、台形の面積を求めるのに必要な上底、下底、高さを全て計算できます。

後は公式通りに面積をtの式で書き、最大値を調べます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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微分方程式に関する問題です。

 

(1) Pのx座標、y座標をtで微分すれば速度ベクトルvが計算できるので、内積を利用しましょう。このときθ'(t) = 1が役に立ちます。

 

(2) (1)の結果=cosπ/4になるので、rだけの簡単な微分方程式ができます。

 

(3) θ'(t) = 1を解くと、θ(t) = t +定数の形になるので、vの内積=0を式変形していき、θ1とθ2の関係式を求めます。また、道のりは「速さ」をtで積分すると計算できることを利用します。

 

<筆者の解答>

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