このシリーズでは、山梨大学医学部後期の数学の問題を解いていきます。
初回の今回は2022年です。
第1問(1)
第1問は例年小問集合となっています。
この(1)は命題の真偽判定の問題です。
アについては真なのは自明でしょう(証明も容易です)。
イは、例えば√2+(2-√2)=2という反例が見つかるので偽です。
ウは非常に有名ですね。an=1/nのときは調和級数という「an→0なのに無限大に発散する」級数でした。
エは直感的には真なのは分かると思いますが、きちんと証明しようとすると、おそらく大学で習う「ε-N論法」が必要になると思われます。
<筆者の解答>
第1問(2)
鈍角三角形の成立条件の問題です。
まず三角形が成立する条件「最長辺<残り2辺の和」をクリアした上で、鈍角三角形になる条件「最長辺の2乗>残り2辺の2乗の和」を詰めていきます。
<筆者の解答>
第1問(3)
円に内接する四角形の面積を計算する問題です。
向かい合う内角の和が180°になっていることを生かすと、余弦定理を使えばよさそうだと分かります。
<筆者の解答>
第1問(4)
確率の問題です。
条件をみたすようなa,b,cの組み合わせの個数を調べていきます。クについては実際に手で調べればよく、ケについてはa<b<c, a=b<c, a<b=c, a=b=cと場合分けしてそれぞれ個数を調べていけばよいです。
<筆者の解答>
第1問(5)
ベクトルの内積に関する問題です。今回の小問の中では方針立てが一番難しい問題だと思います。
与式を2乗して連立すると、|a|^2と|b|^2をa・bの式で表すことができます。その下で、そもそもの内積の性質から|a|^2|b|^2≧(a・b)^2が言えるので、そこからa・bの範囲が求まる、という格好になります。
結構式変形も煩雑です。
<筆者の解答>
第2問(1)
第2問も小問集合です。
この問題は、統計学の問題です。
サについてはx1~x10の平均値を経由して計算していき、シは3乗シグマの公式を使えばよいのですが、計算には工夫が必要です。
<筆者の解答>
第2問(2)
積分の計算問題です。
式の形からx=sinθと変換すると見通しが良くなり、n=3の時は比較的簡単に計算できます。(※tanθの微分をつくって部分積分する)
n=7の場合は直接計算するのが困難なので、Inの漸化式を作ることを目標にしていきます。
<筆者の解答>
第2問(3)
複素数の計算問題です。
zは1の9乗根の1つなのでz^9=1となり、これを因数分解することでz^6+z^3+1=0が成り立つ、というのがキーポイントです。
与式をよく見ると、z^6+z^3+1の塊をいくつか作れることが分かるので、これで計算がうまくいくことになります。
<筆者の解答>
第2問(4)
回転体の体積の計算問題です。
PQの距離を調べることによって、調べたい立体と合同な図形を計算しやすい座標系に落とし込むことができます。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題です。
平方数を3で割ったあまりが0か1、平方数を5で割った余りが0か1か-1(つまり4)になるという性質を使って、虱潰しにx,y,zとしてあり得る組み合わせを調べることに尽きます。
<筆者の解答>
第4問
楕円に関する図形問題です。
色々方針があるとは思いますが、かなり計算が煩雑です。
私が採用した方針は、lについてF1と対称な点F1'の座標を調べて、Pが直線F2F1'上にあることを示すという方法です。Pがこの条件を満たしていれば∠F2PH2=∠F1'PH1は即座に分かり、かつ△F1'PH1と△F1PH1が合同なので∠F1'PH1=∠F1PH1も言えることになります。
F2, P, F1'が1直線上に並ぶことの証明は、F2PベクトルとF2F1'ベクトルが平行なことを証明すれば達成できます。
<筆者の解答>
第5問
放物線の接線に関する問題です。
Pのx座標をtとしてA,Bの座標をtの式で表現することが第1歩です。
ここから、BPとAPを直接計算しようとするとかなり複雑な式になってしまい手に負えなくなってしまいます。ここは、A,P,Bが1直線上にあるので、x座標の差の比で考えてよいことに気付けるかがカギになります。これに気付けると、Rはかなりシンプルな式になります。
<筆者の解答>