ちょぴん先生の数学部屋

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平成の京府医大数学 -1990年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

最終回の今回は1990年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)

第1問

恒等式に関する問題です。

 

(1)この恒等式は、h(x)は周期1の周期関数であることを意味しています。整式で周期関数になるには、h(x)が定数関数になるしかないですね。

 

(2)f(x)を文字でおいて恒等式になる条件・・・と処理するのは非常に大変です。

f(x+1)-2f(x)+f(x-1)=0が実数xに関する恒等式なら、少なくともxが自然数の範囲でもf(n+1)-2f(n)+f(n-1)=0が常に成立しているはずです。このように「数列の漸化式」に読み替えることがキーポイントです。

 

さらにこの式の形は好都合で、an=f(n)-f(n-1)とするとan+1 -an =0という超絶シンプルな形の漸化式にできます。ここから、an、f(n)の一般項が計算でき、結局f(n)=pn+q (要するに1次関数)とできます。(※p,qはf(0)とf(1)の値によって決まる定数です)

 

ここから、f(x+1)-2f(x)+f(x-1)=0が恒等式になる「必要条件」はf(x)=px+qがだと分かります。あくまで必要条件であることを示したに過ぎないので、実際に代入して十分性も確認しましょう。

 

(3)実際に代入して計算するだけです。

※私が解いた際、(3)の存在を失念して(4)を解いてしまったため、答案で(3)と(4)が前後してしまっていますが、ご了承ください。

 

(4) (2)と同様に「数式の漸化式」に帰着させて解くこともできます(本解答)し、(3)を使うと実はもっとシンプルに解けます(別解)。

 

f(x+1)-2f(x)+f(x-1)は全てf(x)の一次式なので「線形性」を持ちます。

(3)でf(x)=x^2なら2に、f(x)=x^3なら6xになることを確かめているので、前者を2倍して後者と足すことで、f(x)=x^3+2x^2とできます。

 

しかし、このままではf(0)=1, f(1)=2を満たさないので不足しています。ここで使えるのが(2)の結果です。f(x)が1次式ならf(x+1)-2f(x)+f(x-1)=0となることを確かめているので、これを加えることで、f(x)=x^3+2x^2+px+qとできて、これが一般解となります。

あとは、f(0)=1, f(1)=2となるようにp,qを決めてあげればお終いです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

行列の積に関する問題です。

 

Xが条件Pを満たすなら、正の定数kを使って、c=ka, d=kbと書けることがポイントになります。

 

(1)この下で与式を計算すると、(u,v)=(ax+by)(1,k)と書けることになります。このときuv=k(ax+by)^2となるので、uv≧0は確定です。そしてuv=0となるのはax+by=0のときだけですね。

 

(2)(u,v)が0ベクトルになるか否かはax+byが0になるかだけで決まることになります。xy>0のときはax+byは0になりえません。

 

(3) (xj, yj) =Aj×・・・×A1(x,y)の一般項を、(2)までの検討結果を使って求めていくとよいでしょう。

すると、(xn,yn)=(0,0)となる必要十分条件がax+by=0となります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

点の軌跡に関する問題です。

 

Pを通る円の接線をy=mx+pとしてmを求めていきます。同様にするとQを通る接線の式も求まるので、交点の座標がa,p,qの式で求まります。

 

pq=1のとき、x座標は一定値になるので、実質y座標の取りうる値を調べる問題に帰着できます。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

抽象的な関数に関する面積の増減を調べる問題です。

 

(1) (i),(ii)を使うことで、y=f(x)とy=x-tの上下関係やtとh(t)の大小関係が分かるので、S(t)を積分の形で書くことができます。あとは、h(t)の関係式を使いつつtで微分していけばよいでしょう。

 

(2) f(x)=x(2-x)からh(t)の具体的な形を調べて、dS/dtの符号変化を調べていきましょう。

その後に、具体的にSの最大値を積分計算で求めていきますが、計算が結構煩雑です。

 

<筆者の解答>

 

第5問

確率の問題です。

 

Aの中身が白黒1つずつ、黒2つ、白2つの3パターンの推移の仕方を考えることでpnの漸化式を立てられるので、それを解いていきます。

 

<筆者の解答>