このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。
32回目の今回は1991年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)
第1問
点の軌跡に関する問題です。
(1)曲線上の点を(t, 1-at^2)(t≦0)として、(0,-1)との距離を計算して最小化していきますが、aの値による場合分けが発生します。
(2) (1)の結果でaを消去すればよいのですが、X,Yの値域のチェックを忘れないようにしましょう。
<筆者の解答>
第2問
球を平面で分割したときの体積を考える問題です。
考える体積をV(t)とすると、tの値による場合分けが発生します。観点は2つで、1つは球の中心がHに入っているか否か、もう1つがHの境界平面と球の中心との距離と、球の半径の大小関係です。
球が途中で分割される場合は積分を使って体積計算をしていきます。
<筆者の解答>
第3問
シグマ公式に関する問題です。
(1)シグマ公式を導出したことがある人なら、「右辺を変形して左辺を導出する」というアイデアの方が得策だと気付けるかもしれません。
その心は、「右辺は(k+1)^(p+1) - k^(p+1)のk=1,2,・・・,nでの和」です。
(2)p=1,2,3あたりで実験すると、確かにSp(n)はp+1次式で、最高次係数が1/(p+1)となることが予想できます。
これを(1)の式を使った数学的帰納法で証明していきます。
<筆者の解答>
第4問
逆行列に関する証明問題で、忘れた頃にやってくる、いわゆる「公式証明」です。
Bの成分を文字でおいて、BがAの逆行列だと仮定して計算していき、Bの成分とa~dの関係式を調べていきます。
すると、Bの成分は全て分母がad-bcとなっていることから、これが0か否かがポイントになってくると分かるわけです。
(1)ad-bc≠0なら、Bの成分がすべてきちんと定義できるので、逆行列が存在します。
(2)ad-bc=0だとA=0となってしまい、AB=BA=Eになりえません。
<筆者の解答>
第5問
確率を題材にした極限の計算問題です。
(1)まずはとにもかくにも、PN(k)を計算します。
これは、以下のように解釈すると計算しやすいでしょう。
「最初にk-1個取った時に全て赤で、さらにもう1個取ると白である確率」
戻さない場合の確率計算は「まとめて一気に取り出す」と考えるとよい場合が多いです。
極限計算の際には、分子と分母をうまく組み合わせていくのがポイントです。
(2)こちらも考え方は同じで、分子と分母をうまく組み合わせていきます。最終的には区分求積法で極限を調べていきます。
[訂正] (1)の極限計算について、読者の方から「1^∞の不定形(無限積)になるのでは?」と指摘を受けたため再考したところ、誤りであったことが分かりました。
約分をする際に、積の数が有限個になるように調整することで正しく計算できました。
玉の数が無限個あれば、赤白を引く確率が常にそれぞれ1/2になるため、その考察とも合致します。
<筆者の解答>
(1)の極限計算の訂正です。