2021年も大学入試のシーズンがやってきました。
※当日解いており、解き切れなかった問題や誤答があるかもしれません。⇒代ゼミと河合塾での速報をチェックし、合っていることを確認しました。
<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)
1. 直線の通過領域と放物線の交点を持つ条件 (40分)
2. 複素数を含んだ式の計算、多項式の割り算(35分) ※初見では完答できず→解けた
3. 条件付きで試行終了する確率(64分) ※初見では完答できず→解けた
5. 法線ベクトル、軌跡、三角関数の最大最小(36分)
<体感難易度>
1<4<5<2<3
大問全体が難しいという大問はないですが、最終小問が難しかったりなど完答するには厳しい問題が並んでいます。時間も全然足りなくなるので、解けそうにない問題はさっさと捨てて、解ける問題を確実に解けるかが肝要になったと思います。
確率の第3問が難問なので後回し・捨て気味にいき、残りの大問で解けるところまで解き切り見直しに充てる、が最良の作戦だったと思います。
<個別解説>
第1問
直線の通過領域と放物線の交点を持つ条件を求める問題です。例年のような小問集合ではありませんでした。
(1) 直線の式を、tの恒等式と見なして係数を調べるお馴染みの問題です。
(2) f(t)の式は容易に求まるので、微分して増減を調べればOKです。(エ)についてはf(t)のグラフを描けば分かります。
[2/13追記] 2次方程式の実数解の個数として処理すれば、文系範囲でも解くことができます。別解にて紹介しました。
(3) (1)と(2)がヒントになり、Sは簡単に図示できます。放物線の方が「下凸で、上に無限に伸びている」という性質を持っているので、「Sと放物線が交点を持たない」条件を調べたほうが考えやすくなります。
<筆者の回答>
(2)の別解です(文系範囲のみで解く方法)
第2問
複素数を含んだ多項式の計算と、多項式の割り算に関する問題です。
(1)
(前半)(α+1)(α+2)を計算すると定数になることを利用するとよいでしょう。するとαの7次式が3次式まで次数が下がるので展開しましょう。αの条件式がキレイに出現して定数になります。
(後半)(α+2)(α+3)をどう処理すればよいかが思いつかず、一旦断念しました。
→発想を転換し、αを直接求めて計算することにしました。するとド・モアブルの定理がキレイに使える形になり、s,tを求めることができます。αは2つ求まりますが、どちらの複素共役を採用しても同じ結果になります。
(2)
ク~ケ:直接割り算すればよいのですが、(1)の知見を活かしましょう。(x+1)(x+2)を計算すればx^2-3x+3をうまく出現させられます。
コ:まず余りは1次式以下なので、ax+bと書けます。そのもとでx=αを代入してみましょう。このとき、(α+1)^3 = 1となることが分かるので、2021を3で割った余りが分かれば先に進むことができます。
残りは次数下げをして係数比較をすればOKです。
<筆者の回答>
第3問
確率の問題です。終了条件が2通りあるのが厄介な本セット最難問だと思われる問題です。
(1)n=1のとき、サイコロを投げる回数は3回までです。その下で、5未満が1回出なければならないので、「5以上⇒5未満⇒5以上」、「5未満⇒5以上⇒5以上」の2パターンしかありません。
(2)n=2のとき、サイコロを投げる回数は5回までです。5回以内に終了できる出方を列挙すればよく、末尾が「5以上が連続する」確率と「そうでない」確率をそれぞれ計算すれば条件付確率が求まります。
(3)条件付き確率=1となるのは、終わり方が「末尾が5以上連続」にしかならない場合です。つまり、どうあがいても5以上が連続する箇所が出てきてしまう場合です。
白玉Nコを横一列に並べて、隙間に黒玉を入れようとする状況を考えてみるとよいと思います。白玉Nコの隙間は全部でN-1個ありますが、もし黒玉がN-1個より少ないと、埋まらない隙間が必ず出るので、白玉が連続する箇所が出てきてしまいます。
(4) 末尾が「5未満⇒5以上⇒5以上」になるのは分かっているので、それより前の並べ方の場合の数を考えます。つまり、「5未満がk-1回出て、かつ5以上が連続しない」並べ方を数える、という発想に至りました。
おそらく直接数えるのは厳しそうなので漸化式を使おうと考えました。が、うまくいかず断念しました。。
→直接数えれば式自体は出せますが、Σを解消できず先に進めませんでした。
→サイコロを振る回数に制限が入るので、変数をうまく変換することで2項定理に持ち込んだ計算ができました。pkが等比数列になるので、kの期待値Snは(等差数列)×(等比数列)の和になり、面倒ですが計算できます。
直接数え上げのコンセプトは、(3)と同じように白玉を横一列に並べたうえで、
・白玉の間に黒玉を一個ずつ入れる(これで白が連続しなくなる)
→残った黒玉を同じ隙間(+両端の2つ)に割り振って入れる
というものです。
結局、直接数え上げが正解だったようです。誘導なしでこの計算を思いつく・実行するのは相当厳しいので、やはり本番では(4)は捨て問でしょうね。
<筆者の回答>
第4問
(1) 右辺ー左辺の増減を考えてあげればよいでしょう。
(2) (1)と同様ですが、関数を微分したときの符号変化がbによって変わるので場合分けが発生します。
両辺をxで割って定数を分離する、という方法でも解くことができます(別解にて紹介)。この方法であれば場合分けは不要ですが、極限の計算が要求されます。
(3) 一般に、∫logx/x dxのタイプの積分は直接計算できません。今回の場合は極限を訊かれているので、「はさみうちの定理を使うのでは?」という発想に至ります。
そのためには、積分の中身をうまく不等式ではさんであげる必要があります。と思ったときに、(1)(2)が使えるのでは?と思いつくと思います。
t→0としたときに両辺が同じ関数になるように、うまく定数、変数をいじくってあげる必要があります。ここで少々試行錯誤が必要になります。
結論としては、a=1/2, b=1/2を代入してxをtxに置き換えてあげれば上手くいきます。
I(n,k)が求まれば、(ツ)については区分求積法で計算ができます。
<筆者の回答>
(2)の別解です。
第5問
法線ベクトル、軌跡、三角関数の最大最小などなど、色々な要素がつまった問題です。
(1) n=(-sinθ, cosθ)とすればいいことは割と思いつきやすいと思います。-π/2<θ<π/2の範囲では、cosθは正になりますからね。
これが分かれば、成分比較で連立方程式ができるので、それを解くだけです。
(2)lの式をθを使って表し、点と直線の距離の公式を利用すればPQが求まります。合成を使えばcosの最大最小の問題に帰着します。
(3) OS=(σcosθ, σsinθ)と書けるので、OS⊥RSを使ってσをθの式で求めましょう。Qの座標についても同様です。すると、Tの座標をθだけの式で書けるのでθを消去すれば軌跡の式が求まります。θは、2倍角の公式を使って、sin2θとcos2θをx,yの式で書けば消去できます。
(4) (2)と同じ要領でRSが求まるので、与式を計算しましょう。
[2/15追記] RSの式にプラスマイナスのミスがあったため、答案を差し替えました。申し訳ありません。
<筆者の回答>
[2/13追記] (3)をRT:TS=1:3と勘違いして解いてしまっていたので、解きなおしました。