ちょぴん先生の数学部屋

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2021年度 早稲田大理工学部数学 解いてみました。

2021年も大学入試のシーズンがやってきました。

今回は、早稲田大学理工学部に挑戦します。

 ※当日解いており、誤答があるかもしれない点はご了承ください。発見次第修正します。⇒代ゼミ河合塾での速報をチェックし、合っていることを確認しました。

 

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1. 3次関数と、関連した角度の増減(15分)

2. 多項式の割り算(35分)

3. 複素数平面における三角形の写像(20分)

4. 箱に入る玉の個数に関する確率(20分)

5. 正四面体に関するベクトル、面積比(35分)

 

<体感難易度>

 1<3<4<2<5

早稲田にしてはかなり易しい問題が並んだセットだったと思います。下手すれば満点も相当数いるのではないでしょうか?高得点での合否争いが予想されミスが許されないので、かえって緊張する試験だったと思います。

計算の面倒な2, 図形に対するセンスが要求される5以外は至って平易な問題なので、完答を狙うべきでしょう。が、4は注意深く解かないと足元をすくわれるので要注意です。

 

<個別解説>

第1問

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3次関数に関連した角度の増減を調べる問題です。

 

(1) 直線AP, PBの傾きを計算すればOKです。因数分解によってキレイに約分できます。

 

(2) (1)の結果を使って加法定理を使うことはすぐに分かると思います。∠APBがα、βとどういう関係になっているのかを図に描いてチェックすればミスがないでしょう。

 

(3) (2)の結果をtで微分して増減を調べればOKです。tanθはθに関して(発散する部分を除き)常に増加するので、tanθの増減がそのままθの増減になります。

 

<筆者の回答>

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第2問

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慶応の理工に続き出題された、多項式の割り算に関する問題です。

 

多項式の割り算を扱う問題では因数定理を使うのが基本なので、f(x)=0の解がどうなっているのかを調べるのが肝要になります。

f(x)の形をよく見ると、x^3 + 1を因数分解したときに出てくる式と酷似していますね。これを思いつけば、f(x)にx^2 + 1をかけてあげれば、x^6 + 1とすっきりした式になることが分かります。よって、f(x)=0の解は、x^6 + 1 = 0のx=±i 以外の4つの複素数になることが分かります。

この解たちは、α, -α, α*, -α*と書くことができて、割られる多項式をg(x), 余りをR(x)とすれば、因数定理からg(α)=R(α)などが成立することになります。

また、f(x)が4次式故R(x)は3次式以下になりますので、これら4つの関係式からR(x)を決定できる、というシナリオになります。

 

(1) αたちがα^6 = -1を満たすことを利用しましょう。高々6次式なので、直接割り算して求めるのもありですが。

 

(2) (1)の知見から、指数を6周期で考えればよいと分かります。2021=6×337 -1 を利用することで指数の肩を簡単にできます。2021=6×336 +5と考えると考える数字が大きくなってしまうので、2021=6×337 -1 と考えるのが良いと思います。

 

(3) g(x) = (x^2 - 1)^n -1 にαたちを代入して全部0になることを確かめればOKです。

 

[2/17追記]

直接割り算を実行するという路線の別解を追加します。整数の合同式と同じように、多項式についても合同式の考え方が使えるので式をどんどん簡単にしていきましょう。

結果的に、こちらの方が遥かに楽に解けましたね。。。

 

<筆者の回答>

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[2/17追記]別解も紹介します。

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第3問

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複素数平面における三角形の写像を考える問題です。

 

(1)α^2とβ^2を直接計算して、互いに実数倍になっていることを確かめればOKです。

 

(2)Pが直線AB上にいるときはz=t+i (t:実数)と書けるので、x,yをtの式で表してtを消去すればQの軌跡が求まります。

 

(3) (2)と同様に、PがOA上にいるとき、OB上にいるときに、Qがどこにいるのかをチェックします。すると、(1)の知見も合わせて直線CD上にQがいることが分かります。

よって、Kは、「(2)の曲線と、直線CDで囲まれた図形」となります。

(囲まれた図形の「内側」であることは、さすがに自明にしてよいと思います)

 

(4) Kが90°傾いた「放物線と直線で囲まれる図形」なので、文系レベルの積分で事足ります。1/6公式を使えば大分楽に計算できます。

 

<筆者の回答>

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第4問

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箱に入る玉の個数に関する確率の問題です。

 

この問題は、実質k個の玉をn個の箱にどのように配分するかの場合の数を調べる問題に帰着します。場合の数から確率を求めるには、「同様に確からしい」ことが必要なので、箱と玉をしっかり区別して数える必要があります。

(初稿では、箱は区別でき玉は区別できないと解釈して解いてしまっていましたが、それだと「同様に確からしく」ないので、誤った答えになっていたのです。初歩的な罠に 嵌ってしまいました。。。)

 

 

全問通じて、箱B1,・・,Bnに玉A1,・・,Akを入れる方法が何通りあるのかを数えることになります。

 

また、注意点はもう1つあって、(2)の場合はn=2のケースを、(3)の場合はn=3のケースを例外扱いにしないといけないということです。

なぜかといえば、例えば(2)の場合だと、「1個入れる箱を2つ作る」という入れ方がありますが、n≧3の場合は空の箱があるので「l=1」になりますが、n=2の場合は空の箱がないので「l=0」となり、lの値が異なってしまうからです。(3)についても同様です。

 

初稿では、このことに気付かないまま解き進めてしまっていましたので、この場で訂正します。 

 

<筆者の回答>

こちらが正解です。

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※初稿(上記2点の注意点に気付かず解いてしまった誤答です)

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第5問

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正四面体に関するベクトル、面積比について考える問題です。

 

正四面体の辺の長さは特に指定されていませんが、ベクトル表記や面積比といった比の概念しか登場しないので、1辺の長さを1と決め打ちしても問題ありません。

 

(1)

D~Fについて

△ABCで正弦定理を使うとSの半径が求まるので、「MD=Sの半径」となるようにDを決めてあげましょう。E,Fについても全く同じです。

 

Gについて

これはどう求めればいいのか、悩んでしまう人は悩むと思います。私も初見では結構悩みました。

が、よく考えると、弧DEはSを△OABを含む平面で切った断面の一部となるので、MGは平面に垂直でなければいけないと気が付きます。これに気付いてしまえば、お馴染みの内積=0で処理することができます。

Gは△OAB上にあるので、OG= sa+tbと書くことができますが、OAとOBが対称な関係にあるので、s=tになることが分かってしまいます。この事実を使うと計算量を節約できます。

 

(2) (1)の結果を使って、△OABの中に比の関係を書き込んでいくと糸口がつかめてきます。底辺の長さの比を使って、最終的には面積比を求めていきます。

 

<筆者の回答>

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