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平成の京大理系後期数学 -2003年-

このシリーズでは、平成の京大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

4回目の今回は2003年になります。

 

第1問

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図形の証明問題です。重心を取り扱っていることのあるので、解法はベクトルを使うのがよいでしょう。

 

P1,P2,Q1,Q2,R1,R2の位置ベクトルをすべてABとACの和として表現して重心をそれぞれ計算し、それらが一致する条件を調べればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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体積の最大化問題です。

 

四面体の体積を考えるので、まずは底面積と高さが何になるかを考えるのかが重要になりますが、底面積はともかく、高さの方は初等幾何のみで計算するのが厳しいです。

 

よって、座標を設定してあげるのがよいでしょう。Bを通る直線を折り目にするのでBを原点に、対称性がよくなるように△ABCを逆三角形に配置するのが一番よいと思います。

 

そしてDの座標のパラメータ設定についても、対称性がよくなるようにy軸からの距離で設定すると見通しがよくなります。

 

このようにしてDの座標を使って四面体の体積が表現できれば、あとは微分で増減を調べればよいでしょう。ルートが入った面倒な式なので、2乗してから微分するとミスがないです。

 

終結果の「DはACの中点」は、最初からある程度想像しやすい答えですね。

 

<筆者の解答>

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第3問

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3次方程式の解の配置に関する問題です。

 

3次方程式の解は「3つとも実数」「1つが実数で、残り2つが共役な虚数」の2パターンがありますが、前者の場合は残念ながら問題文の条件を満たしません(重解がない場合は距離が2√3になる組み合わせが発生し、重解がある場合は距離が0になる組み合わせが発生してしまいます)。

 

よって、後者の「1つが実数で、残り2つが共役な虚数」に絞られますので、実数解をx=r, 虚数解をx=p±iqと文字でおいて、p,q,rを求める方針で進めます。

 

各々の解の距離の条件だけでなく、「解と係数の関係」を用いると条件を追加できますし、aとbを3つの解を使って表すことができます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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数列に関する証明問題です。

 

anが「正の数からなる数列」というあまりに抽象的な条件設定しかないため、一見すると取っ付きにくいですね。この状態で、実際に問題文の不等式をみたすようなnを見つけてくるのはあまりに現実味を欠いていると言えるでしょう。

 

では、逆の場合を考えてみましょう。つまり、どのnについてもan+1≦an/2 -pが成り立っていたら何が起こるのかを考えてみます。

 

もし、このときanの中に「マイナスになるもの」があったら、問題設定と矛盾しますね。ということで、この矛盾を導けたらいいなと思いつつ背理法を使ってみましょう。

 

問題文の不等式を、普通の漸化式と同じように等比数列の形に変形すると、an≦(nの式)でanを評価できます。

 

このとき、このnの式は単調減少で、なおかつn→∞とするとマイナスになってしまいます。ということは、anはいつかはマイナスになってしまうことが分かります。これで想定通りの矛盾が導けました。

 

<筆者の解答>

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第5問

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極限の計算問題です。

 

一見するとΣの中身にk/nの塊があるので区分求積法を使いたくなりますが、Σの前に1/nがないため、残念ながらこのままでは区分求積法は使えません。

 

そして、仮に1/nが先頭にあったとしても、Σの中の(-1)^kが非常に邪魔です。

 

ということで、仕方ありません。極限を取る前に計算を行いましょう。

 

邪魔な(-1)^kを消すために、kを偶奇で分けて和を取ってしまいましょう。kが奇数の方の和については、2項定理でさらに計算を進めることができます。

 

計算を進めていくと、Σ (1/nのべき乗)×(区分求積法で極限計算できる部分)の形に出来ます。

 

区分求積法で計算できる部分は、極限を取ると有限値に収束するので、それをnのべき乗で割り算したものの極限は0になります。

 

よって、全体の極限を考える上では、Σの中で1/nが1個以上かかっているものは無視してOKだとわかります。こうすることで、要らない項がバサッと消えるので、あとは残った部分で極限を取るだけです。

 

<筆者の解答>

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第6問

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場合の数を調べる問題です。一見すると難しそうに見えますが、見掛け倒しです。

 

(i)~(iii)の条件から、a1~a7はすごろくの要領で駒を進める時の道順と解釈できます。

 

そして図をよく見ると、各頂点から伸びている線分はどれも3本ずつになっていることが分かります。よって、一見複雑な図ですがどの頂点も「対称」に扱うことができますので、スタートをa1=Aと考えても一般性を失いません。

 

Aから出発する場合、a2はB,D,Eの3択です。その後も次の頂点への移動の仕方は3択ずつになっています。よって、Aスタートの場合の場合の数は3^6通りです。

 

a1の選び方が6通りなので、求める場合の数は、6×3^6通りとなります。

 

<筆者の解答>

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